怖い話 綺麗な月 その二

無「それで月が綺麗ですという言葉がそんなに珍しいですか?」


ア「ええ、無駄愚痴さんに固有の言葉です」


無「よくある時候じこうのアイサツだと思うんですけども」

無「いや……ちょっと、かっこつけた言葉ということはいなめませんけども」


ア「このやりとりは広くオープンな状態です」

ア「いくらか制限はかけられますし、注目している人も少ないでしょうが、それでも数百人は見ていると思われます」

ア「ここまではいいですか?」


無「はい」


ア「そして、さきほどの一言で無駄愚痴さんの住所がしぼりこめます」

ア「そうした個人情報をもらしたくないなら、天候や季節の挨拶は全国的なニュースにするべきかと思います」

ア「街灯というワードから、居住地もしくは通学路が都市部や繁華街とは違うことも推察できます」


無「」


ア「……無駄愚痴さん?」


無「ええと、ちょっと待ってください」


ア「はい」


無「予想外のベクトルな真面目さでびっくりしました」

無「おっしゃることは正しいんですけど」

無「なぜこのタイミングでというのが正直な感想でして」


ア「以前から、少し不用意な発言が多いことは気になっていました」

ア「マナーとしては問題ないと思いますが、他人を信用しすぎといいますか」

ア「そしてなぜ今かというと、先ほど述べた不真面目な怖い話ともかかわってきます」

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