第26話 エピローグ

俺と神緒の戦いは数年の間続き、町を壊し、山を砕き、世界中を破壊するまで

発展した……

なんて事はなく俺の圧勝だった。


理由は元の姿に戻れたから。

俺の能力の最大の弱点は葵が巨乳じゃなくなったから威力が発揮できなかった点だ。

その悩みは解消されて、それどころか能力も複数扱う事が出来る俺は圧倒的な強さを

誇っていた。


神緒だけじゃない。

その後に戦った変態たちも敵ではなく、あれよあれよと勝ち進んだ挙句、

俺は最後の一人になった。


つまり、それは……



ブツッ!


「それでは本日のニュースです。【身体幼児退行病】にかかった人たちが、一斉に

回復した件について、世界保……」


今はどのニュースでも、この話題が持ちきりだ。

外では、ロリをこの手に!だのショタを返してくれ!だのと喚いてるヤツもいるが、

正常な状態になっただけなので、問題ないだろう。

ちなみに神緒はというと。


「美子が合法ロリだとは……」

「子供の頃から一切変わってないしね。」

「結婚してください!」

「金は?」

「いくらでも用意します!」


どうやら運命の人に出会ってたらしい。腹黒幼女も何だかんだでまんざらでもない

様子だったし、いいコンビになると思う。


「くーくん、そろそろ行こう。」

「ん、分かった。」

「空、葵ちゃんに迷惑かけるんじゃないよ?体も元に戻ってすぐなんだから。」

「俺は?俺もそうだよね?」

「小さいままでも可愛くなかったのに、デカくなると邪魔さ加減もUPして

母さん、キレそうだわ。」

「酷くない?」

ウチの両親は俺もっと大事に扱ってくれてもいいんじゃないか?


「「いってきま~す!」」

「はい、いってらっしゃい。」


バタン!


「朝食の片付けでもしましょうかね。お父さんも準備しないと。」

「あぁ、分かってるって。」


パタパタパタ……


「……ただ今、新たなニュースが入りました。それによりますと……」




「ふぁ~眠い……」

「授業中も寝てたでしょ?も~。」

昼休み、俺たちは屋上で飯を食っていた。


「それにしても良かったの願い事。」

「ん?あぁ俺はアレでいいけど、葵も良かったのか?」

「うん。もう二度と変な姿になりたくないもん。」



俺と葵が神様にした願い事とは、


二度とふざけた理由で子供に戻すんじゃねぇ!っていう願いだ。



もっと他にあったろ!と意見もあるかもしれないが、別に構わない。

何せ俺には葵がいるからな。

葵さえいれば俺は幸せ。可愛いよ葵、クンカクンカしたいよ葵。

葵が別の姿に変わるくらいなら、他の願いなんていらない。


「葵、今日も可愛いな」

「くーくんってば、もう……」

はぁ~人生ってやっぱり最こ『空すわぁぁ~~~~~~~~ん!!』……うって

訳にはならないみたいだ。

聞き覚えのある声が空から降ってくる。


『助けてください!お願いします!』

「嫌です、お帰りください。」

『そんな事言わずに!!』

「養鶏場はあちらにあったかと思います。」

『私の羽は手羽先じゃありません!話を……話を聞いてください!』

服を掴み前後にガクガクと揺らされる。うっとうしい。


「くーくん、話くらい聞いてあげよう?」

「だってコイツらに関わったらエライ目に合うじゃんか。」

『今回は私達じゃないんです!悪魔が原因なんです!』


「「は?」」




「あらやだ、お父さん。また世界中で奇病が流行ってるんだって。」

「またか。【身体幼児退行病】がやっと落ち着いたのに次は何だ?」

「今度は……」




「あれ?」

「どうしたのくーくん?」

「体に違和感があるっていうか……」


ビキィ!


「うっ!」

「くーくん!?大丈夫、くーくん!」

「か、体が熱い!」

「どうなってるの!説明して!」

『これはですね『悪魔の仕業って言われたろ?』あなたは!』


体の変調に耐えながら目を動かすと、空にコウモリの羽が生えた全身黒タイツの男が

浮いているのが見えた。

『クケケ!お前は神どものお遊びに付き合ってやった中で、一番強かったらしい

じゃねぇか。だから挨拶しに来てやったぜ。』

「くーくんに何をしたの!?」

『俺は別に何もしてねぇよ。それに体に害はないから、すぐによくなる。

まぁ見ておけ。』


確かに少しずつ楽になってきて、呼吸が落ち着いてくる。

だが何故か胸が痛む。

「くーくん、大丈夫!?くー……くん……?」

「う……大丈夫……」


気分は戻ったが、胸の痛みが激しくなってきた。

シャツが今にも張り裂けそうだ。


張り裂けそう?なんで?


「う、うあぁぁぁ!」


バツンッ!


……え?

「く、く、く、くーくん!胸、胸が!」

葵が絶叫してる。

目線を下にやると、シャツのボタンが弾けてる。その隙間から谷間が見える。

ユッサユッサとか、ばるるるるん!って擬音が聞こえそうなくらい揺れてる。


?? 落ち着け俺。とりあえず悪魔に視線をやる。

『男と女が入れ替わる呪いだよ。魔王様達が暇しててな、神どもの真似をしたのさ。

呪いを解いて欲しけりゃ前と同じようなゲームで勝ちな。なに、主催者が変わった

だけだから簡単だろ?』


役立たずに視線を……やったが、黙って首を横に振ってる。

『ほらよ、そいつと違って道具は渡してやるよ。んじゃ細かいルールを説明するぜ

クケケ。』



『空さん、頑張ってください……』

「くーくん……」



「俺は巨乳好きなだけで、巨乳になりたい訳じゃねぇんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!」


いつになったら俺は葵と幸せになれるんだろう……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界中でショタやロリが増えていくので俺が最弱になりそうな件について @zatto-konnamon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ