第25話 やっぱり巨乳は素晴らしい!

葵と美子は両腕を後ろで縛り上げられ、縄の端を和弘が持っている。

「お前は誰だ!?何のつもりだ!」

神緒が和弘に向かって叫ぶ。


「お兄ちゃん!」

「美子!」

美子が叫び、神緒が手を伸ばすが、

「おっと、させないよ。」

同じように和弘も手を伸ばす。


ヒュオン!


「「「「は?」」」」

和弘を除く全員が呆けたような声を出す。なにせ風がかき消えたのだ。


「さっきそこから声がしたよな?そこに隠れてるのか?」

居場所がばれてしまった俺は、仕方なく姿を現す。

「和弘、お前なんで……」

「俺も能力者だったんだ。それだけだよ?」


俺と葵にとっては衝撃の事実だ。

「いや~この道具持ってるヤツは能力者がどこにいるか分かるじゃん?

でも二人して普通に教室に入ってくるし、ずっと見てても腕に何も付けてないしで、もしかしたらバレてないと思って知らない振りしてたん

だよね。」

「……貰えなかったからな。」

「あ、そうなの?残念だね。」

あの役立たずのせいで、厄介な事になっちまってるじゃねぇか!!


「お前は何がしたいんだ?」

「え?俺の願い?」

「葵まで人質に取りやがって!親友だと思ってたのに!」

「それとこれとは話が別だよ。」

和弘が俺を真顔で見つめる。



「空、俺は……


世界をロリ巨乳で満たしたいんだよ!」



「……もう一回言ってもらえるか?」

「ビバ!ロリ巨乳!」

親友の隠された性癖がここに披露された。


「俺の能力はな、時間を操る事が出来るんだ。それは神の呪いに対しても例外

じゃない。体全体に能力をかけて、呪いがかかる前に戻す事も出来るし、一部だけ

戻せば……」


ヒュオン!


「キャア!」

「この通り、ロリ巨乳の出来上がりって訳だ。」

葵の胸がでかくなった。しかし、なぜ服まで伸縮するのだろう?破れてくれても……

いや、葵の胸は俺が!お・れ・だ・け・が!!堪能するんだ!

他のヤツに見せてたまるか!よくやった服!


「何してくれやがる!」

「今、少し喜んでなかった?」

「ソンナコトハナイ!」

俺の心を読むんじゃない!


「まぁいいや。空とついでにそこの人も、協力してくれない?」

「何……?」

「どういうつもりだ?」

俺と神緒は和弘を睨む。


「いやだって、そこの人はロリコンでしょ?空は巨乳好き。んで俺はロリ巨乳好き。

ほらバランス良くない?何なら多少の願いなら聞いてあげるよ?」

何を言い出した?

「例えば葵ちゃんだけ元に戻すとか。」

「うっ!」

「身体幼児退行病にかかってない人もロリにしたりとか。」

「くぉっ!」

「悪くない提案だと思うんだけどな~。」


確かにそれは魅力的だ。でも、でも……

「それって他の人は戻らないって事でしょ!?くーくん、迷っちゃダメ!」

「私はお金が手に入ればどっちでも。」

美子さん、ドス黒さは変わらずですな。


「和弘……」

「そこのお前……」

「ん、決まった?」

「「あぁ決まった。」」

俺も神緒も同意見だ。


「じゃあ手伝って「「断る!!」」え~……何で?」



「ロリはロリだからこそロリ!子供から大人への成長過程を経て体も精神も

出来上がっていく。その途中でロリ巨乳となるのであれば、それは神の祝福。

俺も拍手で迎えよう。しかし!お前は……お前のやろうとしている事は最低だ!

気に食わないからと無理やり体を弄いじくり回して自分の好みに変えるなど

言語道断!神への冒涜!

ロリのすべてを受け入れ、愛し、癒される。それが正しきロリコンの道!

世に生きるすべてのロリのために貴様を倒す!

あと、よくも美子を人質にしてくれたな!」


「巨乳ってのはな、デカけりゃいいってもんじゃねぇ。

あれは人が手を加えてもいいもんじゃない。あくまで自然に……そう、まるで

果実が熟れていくのを待つようなもんなんだ。それを適当に作り出して

巨乳が好きだからいいだろ?ふざけるな!あれは果実が大きくなるたび、

それに伴って体の形も出来上がっていく、いわば芸術品なんだよ!

体と胸が別々に育った状態だなんて、そんなのは歪いびつな粗悪品だ!

それを分かってないお前は巨乳好きを名乗る資格はない!

巨乳に優しい世界を作るために、お前はぶちのめす!

あと、葵を人質にしてんじゃねぇ!」



「私達……ついで?」

「なんかそういう扱いみたい。」


和弘がため息をつく。

「しょうがないなぁ、じゃあ倒して分からせるしかないよね。」

そう言うと俺達に向けて手のひらを差し出した。


さっきの能力……!

「おい、神緒!」

「分かってる!」

二人して手が向く方からダッシュで逃げる。

時間を操る能力が人にも有効なら、赤ん坊や年寄りにされる可能性もある!

「ま、逃げるよね。そりゃ。でもね……」


瓦礫やゴミが飛んでくる。

「はぁ!?」

何とか柱の影に隠れて当たらなかった。いや、正確に言うと飛んできた物体は

柱にくっついた。

「もしかして、元は柱の破片か?」

ゴミの時間を戻したのか、神緒は!?


「くっ!」

神緒も避けてはいるが、中々に大量の物が飛んできて必死だ。

能力を使って空を飛びながら、打ち落としたり、和弘に向けたりするが、

かき消される始末。


打開策は……あいつのパートナーは?

そういえばパートナーの姿が見えない。もしかしたら、

「空~、もしかして相方探してる?」

和弘の声が聞こえてきた。だから心を読むな!


「そんな事しても無駄だよ。だってパートナーは○19だからね」


って確か……○これのキャラクター!?

「二次元じゃねえか!卑怯だぞ!」

「こんな事もあろうかと……ね。説得するのに一日かかったよ。」


くそ!オ○エント工業の人形をパートナーにしたヤツもいたから、

ルール違反にはならねえのか!


「どうしたのさ、二人とも?反撃してこないの?」

時間を操る能力がここまで強いとは思わなかった!

神緒の攻撃は無力化されるだけ。

俺も影からちょっかい出してるが、ほとんど意味がない!


何かないか、何かないか……

そういやアイツの周りの物体は元に戻ったりしてないな。なんでだ?

もしかして……

俺は試しに神緒の攻撃に合わせて、炎を飛ばしてみた。さらに投石も行う。

すると、


「避けた……」

風と炎に対しては対処したが、能力が間に合わなかったらしく石は避けた。

アイツ、自分の手が向いてる方向の物体の時間しか戻せないのか?


俺達が逃げようとしてる先の柱や床、天井を修復しているが複数個は無理。

神緒と同じようなモーションするから、目に見えたものに能力を使う事が出来ると

思ってたけどそうじゃないらしい。

それなら!


「おい、神緒!俺を吹き飛ばせ!」

「!?おおおぉぉ!」

言った事を理解するよりも体が動いたといった感じで、姿を現した俺に

風をブチ当ててくれた。


今までの比じゃないくらいのスピードで和宏に接近するが、和弘の能力が

発動される。

「危ない危ない。」

寸前で風は消えるが、俺はアイツに向かって走り出す。

ここで昨日買っていた取り出す。


アレとは……財布につけるようなチェーンを複数継ぎ足したものだ。

物を伸ばす、水を放出、電撃を飛ばす、重力を操る。

この四つが重なれば即席の電磁鞭だ!


「食らいやがれええぇぇぇ!」

「おわっ!」

和弘が慌てて鞭にかかってる能力の時間を戻すため伸びきらないし、

電気も走らない。

ついでのように俺の体もだんだん子供になっていく!だが、


「風も忘れるなよ!」

「くっ!」

神緒が横から風で攻撃する。そうなると必然的に両手が空く。


「今だ、離れろ!」

「うん!」

葵と美子が逃げ出す。

だが、俺達は和弘に決定的なダメージを与えられないまま。

このままだと逃げられたとしても……


その時、俺は見た。

葵がこちらに走ってくる。



能力で胸が元に戻った状態で……

しかも両腕を後ろに縛り上げられてるから強調されてる……

走ってるから上下運動が激しい……

風が吹き付けてるから左右にも引っ切り無しに動き回る。


葵の凶器が縦横無尽に、ばるんばるんと動いてはる……


葵の胸、葵の胸、葵の胸、葵の胸、葵の胸、葵の胸、葵の胸、葵の胸

そして、

「くーくん!」


むにゅううううぅぅぅぅ!


俺の腕の中に飛び込む葵。

久しく忘れていたこの感触。やらかい。

揉みたい、舐めたい、吸いたい、挟みたい、挟まれたい!!!!


「うおっふぉおおおおおおお!」

俺が使う電磁鞭が伸びる。1m、2m、3m……


「なんで!?能力は効いてるはず!!」

「葵のHカップの前には、お前の能力なんて意味ねぇんだよ!!」


ついにチェーンが和弘に絡みつき、

「があああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


絶叫とともに倒れた。



「くーくん……」

「や、やった……か?」

和弘が起き上がってくる様子はない。


『決着ですよ~、ちゃっちゃと処理しちゃいましょうね~。』

役立たずが廃工場に降りてくる。


「お、終わった~!疲れた~!」

「でも和弘君が……」

「んなもん、自業自得だ。後でみっちり説教もしてやらねぇとな。」

人質に取られたのに心配までする葵、可愛いよ葵。それに……


「その胸……」

「へ?あ、きゃあ!見てないで縄ほどいてよ!」

縄で挟むとより巨乳感が増すね!いいね!もうちょっとこうして見ていたいです。


『はいはい、能力は空さんに移動させましたからね~。んじゃ、そういう事で!』

役立たずはさっさと帰っていった。

「ふぅ、疲れた。」

「終わったような空気を出しているが、まだだぞ?」

「げっ……まだやる気?」

「当たり前だ。」


神緒はすでに戦闘態勢を取っている。

「しょうがない、ちょっとだけ待て。」

「少しだけだぞ?」

相変わらず物分りがいいなコイツ。


俺は葵の縄を炎を使って焼き切り、解いてやる。

「ありがとう、くーくん。」

「ついでにっと。」


さっき手に入れたばかりの能力を葵に。

「あ……体が元に!」

本当に何で服も一緒に伸びるのでしょうね。意味分かりませんわ。

でもこれでやっと元に戻してやれた。

終わった後は俺自身にも使う。


「くーくん……」

「葵……」

「ありがとう!」


抱きついてきた葵の胸は圧迫感あるのなんのって、もう体も元に戻ったし

この戦いが終わったらもうエロい事しまくっていいよね?ゲヘヘヘ……

その前に一区切りつけないといけないけどな。


「さて、じゃあ戦ろうか!!」


たった数日だったけど、葵を泣かせてしまったり、変態どもと出くわしたりと

色々あり過ぎた。

でもまぁいっか!終わりよければすべてよし!




やっぱり葵には笑顔とHカップが似合ってるぜ!!

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