第11話:三人称語部視点
なんか順番が前後してしまいましたが、割合書きやすい視点です。
基本的に、神視点の一種といってもいいかもしれません。
ちなみに、「三人称語部視点」に関しては、さらにここでは二種類に細分化します。
まず、「三人称語部(作者)視点」。
すべてわかっている作者が、語部として都合よく語ります。
これは非常にご都合主義で、すべて知っているのに「それはまだ言えない」みたいなこともできてしまいます。
また、作者の主張や意見、主観的感想などが含まれることもあるため、読者からどうしても、作者の姿が見えてしまいます。
童話や昔話のようなタイプならいいのですが、普通の小説で作者が出しゃばると個人的には「うざい」と感じてしまいます。
次に、「三人称語部(ナレーター)視点」。
作者ではなく「ナレーター」という語部を立てます。
神様や作者ほど万能ではなく、その場に寄り添う幽霊のような感じです。
その場に見えることはすべてわかりますし、その場のキャラクターの心を語ることができますし、くせのない主観なら述べることができます。
まあ、これはちょっと言葉で説明しても難しいかもしれません。
今回は、わかりにくいのでオリジナルと変更後を並べてみます。
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少女の体の震えは止らない。
鮮やかな青い髪が一緒に振動し、グレーの瞳が今にも水滴が垂れてきそうなほどに潤んでいる。
はてさて、困ったなと辺りを見まわすと、先の尖った黒い三角帽子が横に転がっていた。
まずまちがいなく彼女のものだと思い、彼はそのがっしりとした手で、それを拾いあげた。
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少女の体の震えは止らない。
鮮やかな青い髪が一緒に振動し、グレーの瞳が今にも水滴が垂れてきそうなほどに潤んでいる。
困った顔の天道が、辺りを見まわす。
すると、先の尖った黒い三角帽子が横に転がっていた。
それは、彼女の帽子だった。
彼はそのがっしりとした手で、それを拾いあげる。
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気をつけてるのは、主体がキャラクターにいかなようにすることです。
あくまで、語部が見ている風景を描写します。
「はてさて、困ったなと」というのは天道の主体なので書き換えます。
「まずまちがいなく~思い」も、天道主体なので修正します。
語部なので、その帽子が彼女のもので在ることもわかっています。
語部は、「お話ししている人がいる」という形なので書いてみると割合わかりやすいとは思いますが、ついついキャラを主体に書いてしまうことがあり、それをやると視点がぶれます。
あと、語部はなるべく中立的にして、地の文に溶け込み、主観を強く出さないようにすることです。
「見た途端に結婚を申し込みたくなる、ラムちゃん似のかわいい娘だった」とか、あまりに主張が強すぎると読者が冷めてしまいます。
この辺りだけ気をつければ、割合やりやすい描写だと思います。
メルヘン系の物語など、特にやりやすいでしょう。
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