ただの異世界ギャグ物とは言わせない

慎重すぎる勇者と駄女神を中心として繰り広げられるギャグには毎度のこと笑わされてます。

物語自体は召喚された勇者が女神とともに異世界へ行き、世界を救うために魔王を倒す冒険に出るという単純明快なもの。正直に言うと、最初はギャグ多めのどこにでもある異世界物だろうと鼻で笑っていました。

しかし、一度読むと手が止まらないほどの面白さがありました。物語の作り方が非常に丁寧でかつレベルが高いのです。召喚されて魔王を倒しにいくまでの過程が綺麗にまとめられているため分かりやすく、状況を整理しやすいと感じました。また、登場キャラクターも各々個性があり印象に残りやすいです。

そして、何よりも目立つのが伏線の多さと言えると思います。
意図的に分かりやすくしているものは勿論のこと、ただのギャグに思えたやり取りが重大な伏線だったということが至る所に散りばめられており、最終章に近づくにつれ、それらが回収されていく時の「あっ!」という気づきがこの作品の最大の面白さだと感じました。そして全ての伏線を回収し、物語の最後を迎えたときは感動すら覚えました。ただギャグで笑いを取るのではなく、その笑い一つ一つが意味を持っているのです。この作品の主人公は慎重ですが、作者も劣らないほど慎重すぎると感じました。

2度読んで面白いそんな作品だと思います。アニメで気になった人は是非読んでみて下さい。今後の展開に目が離せません。