第4話
職場について、どうすれば、あの美しい「動物の現場」を彼に伝えられるだろうかと考えてしばらく、タイマーが紅茶の蒸し時間の終わりを知らせた。周りの同僚に急かされるように切り替えて、巴子は業務に没頭する。
彼が自分にそうであるように、彼とのことは至って慎重になるべきだ。捉えた世界を伝えることができて例え、共有をすることができないとしても。
時間を経て、昼休みになった。追い出されるような愛煙家の流れにのって、巴子は外気へと身を晒す。少し違和感のある匂いに、しかし母のキスを思い出してゆっくりと頭に手をやった。夏が近づいたからか、煙がたゆたう程に風がないと既に少し暑い。
降ろす手で軽く顔を仰ぐと、巴子はやおら彼女へと電話を繋げた。
若榴 棚見 @_hakobe
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます