三十 それぞれの事情

 侯爵は、背後の一人に命じて部屋そのものに音が漏れ出ないよう結界を張らせてから話し出した。彼がティザーベルの魔力の糸を阻んだ魔法士らしい。


「ヘナゼイ子爵は現在、帝都にて魔法士部隊の再編成の任に就いている。これは喧伝されているので知っている者も多かろう」


 そこで一旦話を切ると、侯爵は声のトーンを一段落とす。


「だが、それは表向きの事でな。帝都にいる面倒くさい連中の目を子爵に向けさせておく為の策である」


 何だか嫌な予感がしてきたが、ここで聞くのを辞めますと言える雰囲気ではない。第一、既に結界が張られている以上、外には出られなかった。


「ヘナゼイ子爵が周囲の耳目を集めている間、我々は軍の粛正を行う事になっているのだ。だがこれが難事でなあ……」


 だから魔法士部隊編成なんて仕事が、数年に渡って続けられているのか。おそらく軍の粛正がなかなか進まない為、隠れ蓑である再編成も終わらせる訳にはいかなかったのだ。


 ――そりゃ軍監察のヤサグラン侯爵様が、ヘナゼイ子爵に「悪い事をした」って言う訳だわ……


 軍の粛正が早く終わっていれば、今回の問題児隊長の更迭も早い段階で行われていただろうし、犠牲になった住民も少なくて済んだだろう。ヘナゼイ子爵も領地の経営にもっと力を注げたはずである。


 それにしても、とティザーベルは思う。この侯爵をして粛正が進まないとは、帝国軍の腐敗ぶりはどれだけなのか。今まで関わる事がなかったから気にもしなかったが、下手をするとラザトークスもここオテロップのような事になっていたかもしれないのだ。


 もっとも、あのリサントがそれを簡単に許すとも思えない。元初段目前冒険者は、帝都にも知人が多いと聞くし、何なら国中あちらこちらに顔なじみの高位冒険者がいるそうだ。そうした者達の力を結集すれば、専横くらいはねのけそうではあるけれど。


 ――何せ、相手は軍だからねえ。


 同じ国家組織とはいえ、軍とギルドでは大分地位に差がある。今回のような事でも、軍監察ではなくギルドが衛兵隊の不正を暴いたという事になったら、軍の面目は丸つぶれだ。そうなったら、どうなるのか。


 そこまで考えて、杞憂だなとティザーベルは判断する。実際には問題児隊長達はこれから捕縛されるだろうし、彼等の専横を暴くのは軍監察のヤサグラン侯爵だ。自分達はかかる火の粉を振り払って、侯爵に泣きついただけである。軍の面目は保たれたはずだ。


 ティザーベルが一人納得していると、侯爵が宣言した。


「これで辺境から目を離すと危険度が増すという事がよくわかったし、皇帝陛下にも奏上出来る。街の被害に関しても、私が責任を持って補償する事をここに誓おう」


 既に侯爵の配下達が、襲撃者を尋問しているそうだ。結界を張るまでに、断続的に届いていた報告書の内容を、かいつまんでティザーベル達にも教えてくれていた。


 ここまでの被害額も結構なものだが、これから先まだ出てくる可能性が高い。侯爵に二言はないと思いたいが、軽々と誓ったりして大丈夫なのだろうか。


 一人妙な心配をしていると、変な視線を感じる。先程侯爵を宥めた人物で、結界を張った魔法士だ。彼はティザーベルを見ているというより、レモとヤードを含めた宿で襲撃者を相手にした者達を見ているようだった。


 魔法士の視線に侯爵も気付いたのか、背後を振り返る。


「どうかしたのか?」

「少し、気になる事がありまして」


 そう言って、先程の人物がこちらを見てきた。


「彼等は冒険者と聞いていますが、彼が魔法士ですか?」

「へ?」


 魔法士が指し示した相手は、レモである。いきなり言われたからか、気の抜けた声を上げたが、すぐに慌てて首を横に振った。


「冗談じゃねえ。魔法士はあっちの嬢ちゃんだよ」


 レモがティザーベルを指すと、魔法士はひどく驚いた様子を見せる。


「馬鹿な……その魔力の低さで私の結界に穴を開けただと? しかも宿屋で倒れていた者達には、魔法攻撃を受けた痕跡があった。あの大人数を倒せる程の力があるというのに、この低さなどありえん」


 これにはさすがに驚いた。まさか宿屋で仕留めた連中が魔法攻撃を受けた事がわかるとは。正確には、護身用に張った結界の上から電撃術式を施したものなので、広範囲術式を使った訳ではないのだが。


 第一、向こうの結界に弾かれたのはこちらの索敵網であって、穴を開けた訳ではない。


 彼の言う魔力の低さとは、おそらく漏出魔力の事を言っているのだろう。魔力とは、対策を取らなければ体外に漏れ出るものだそうだ。これを漏出魔力と呼ぶ。何もせずとも魔力が減るので、戦闘が長引く際にはその分の回復手段も講じておかなくてはならない。


 一見ロスでしかない漏出魔力だが、それにより相手に自分の魔力量を誇示して、勝ち負けをつける事もあるという。


 だが、きちんと訓練を積めば、漏れ出る量を最小限に抑える事が出来る。これには、保有魔力量を減らさない事と、魔力を操る能力が向上する利点があった。常に自分の魔力の流れや動きに気を配っていると、無意識でも出来るようになるらしい。魔法書の上級版に書いてあった。


 ティザーベルは常日頃漏出魔力を抑えているので、相手は魔力が低いと判断したのだ。


 レモがのんびりと聞いてきた。


「嬢ちゃん、いつの間にか結界とやらをぶち開けてたのか?」

「んな訳ないでしょ? あの時弾かれたって言ったじゃん」


 口調からも、本気で言っている訳ではないとわかる。目の前の魔法士は、それでも何やらぶつぶつと言い続けていた。


 その様子をちらりと見た侯爵は、ティザーベルの方を向く。


「何だかよくわからんが、そちらの娘が魔法士だというのか? 誰に仕えているのかね?」

「私、冒険者です」


 この発言で、室内が一瞬静まったと思った次の瞬間、驚きの声が響いた。


「多人数を沈める程の腕の持ち主が、冒険者だと?」

「ますますあり得ない! 一体どうしたらそんな事になるんだ!」

「魔法士が冒険者だなんて、聞いた事もない」

「どうして若い女の身でそんな危険な職を選んだんだ……」


 言いたい放題である。別に、ティザーベルも好きでこの職業を選んだ訳ではないが、今では冒険者になって良かったと思っているのだ。何せ、好きな時に好きなところへ行く事が出来る。ラザトークスでの生活基盤を崩せない状態だったら、今頃精神的にかなりきつい思いをしたのではないだろうか。


 ――ユッヒに未練はないけどさ、周囲がうるさいのよね……あいつら、絶対人の不幸は蜜の味ってタイプだよなあ……


 閉鎖的な辺境の街だと祝い事は歓迎されるが、それ以上に醜聞も歓迎されるのだ。平気で十年以上前の醜聞が、ついこの間起こった事のように話されるのだからたまらない。


 もっとも、ティザーベルも人の事は言えない。とはいえ、彼女が楽しむ不幸事は、嫌いな人間に限るのだ。自分に縁もゆかりもない相手だったら、同情する振りくらいはしてみせる。


 それにしても、自分の事だから軽く考えていたが、魔法士が冒険者をやるというのは、そんなにも間違った事なのか。確かに周囲に魔法職はほぼいなかったし、いても大分しょぼい術式しか扱えなかったようだが。


 目の前で何やら小声で話し合いを始めた侯爵一行を眺めて、ティザーベルは自分の特異性に今更気付いていた。


 ――……だって、誰も教えてくれなかったしさー。


 孤児院の人達が教えなかったのは、そもそも魔法士の事も冒険者の事もよくわかっていなかったからだし、周囲も余り者にそこまで親切にしてくれる人などほぼいない。


 でも、ギルドの支部長は一言教えてくれても良かったのではないか。ティザーベルはラザトークスにいるリサント支部長を軽く呪っておいた。


 そんな事を考えていた間に、侯爵達の話し合いは終わったらしい。神妙な表情で、侯爵が聞いてきた。


「一つ、確認したいのだが」

「はい、何でしょう?」

「何故、冒険者になったか、聞いてもいいか?」


 何だ、そんな事かと返しそうになって、ティザーベルは慌てて口を噤む。随分と重苦しい様子で聞いてくるので、どんな事を聞かれるのかと身構えていた分肩すかしをくらった気分だ。


「理由は簡単で、それ以外就ける職がなかったからです」

「何だと?」


 ティザーベルの返答に訝しむ侯爵より、背後の魔法士が大声を出した。


「馬鹿な! 魔法士なら、それも腕利きならどこでも喉から手が出る程欲しがるはずではないか!」


 彼の剣幕に、侯爵も驚いた様子を見せている。確かに彼が言う通り、魔法士で腕が良ければ領主に召し抱えられても不思議はない。


 ただそこに、余り者でなければ、という注釈がつく。こちらの事情など彼等は知らないのだから、この反応は当然だ。


 ティザーベルは、簡潔に自分の事情を話した。


「私、孤児院で成人したんです」


 これで通じるだろうと思ったのに、ゴーゼ以外はきょとんとしている。何とヤード達もだ。


 はて、孤児院で成人した=余り者と呼ばれるという図式は、辺境でしか通用しないものなのだろうか。


 果たして、侯爵は言いにくそうに聞いてた。


「あー、その、保証人になれる者がいなかった、という事かね?」

「マヤロス様。彼女はラザトークス、東の辺境出身なんです。あの街では、成人まで孤児院に居続けたものを『余り者』などと呼んで蔑む風潮があるのですよ。その年齢までどこにももらわれなかったのは、何か問題があるからだ、と」

「何だと?」


 ゴーゼが助け船とばかりに、代わって説明してくれたのはいいが、何故侯爵は怖い顔をしているのだろう。


 ゴーゼは、ラザトークスでは職を見つけるのに保証人が必要な事、孤児院で成人した者なら最低でも保証人は三人必要な事、これらから、余り者と呼ばれる者はろくな職に就けず、結果冒険者になるより道がない事なども説明してくれた。冒険者になるのに、保証人は必要ない。


「おそらく、辺境という閉鎖された街故に、異質な者を排除しようとする気風が強く働いているのでしょう。その代わり、街中知り合いのような場所ですから、融通を利かせやすいという利点もあるのです」


 メリットとデメリットは背中あわせだ。内輪ががっちり組んでいるからこそ簡単に回る部分もあれば、その輪から外れると途端に生きづらくなる事もある。


 幸いティザーベルは魔法の才能があったし、独学で覚える事も出来たから今があるが、これで魔法が使えなければ、冒険者になっても早々に命を落としていただろう。


 ゴーゼの説明を受けても納得出来ないらしい侯爵達は、何やら唸っているようだ。


「だからといって、貴重な人材をそんな扱いにしておくとは……」

「魔法士に対する冒涜です! その街の連中、全員処罰してしまいましょう!」

「待て待て待て! 東の辺境と言えば公爵家縁の領地ではないか! 我々が首を突っ込む訳にいくまい!」

「大体、外圧で住民の考え方が簡単に変わるとは思えんぞ。それに、魔法士の才能以外の連中はどうするつもりだ? そのまま差別されつづけてもいいと?」


 何やら、当事者であるティザーベルを置き去りに熱い議論が交わされている。本人的には「そこまで言う程の事なのか?」という思いしかないのだが。


 あまりの事にぽかんとしていたゴーゼも、苦笑交じりで宥めに回った。


「ま、まあまあ、ティザーベルさんに関しては、この通り立派にお仕事をしている訳ですし、これから帝都に出られるとの事ですから、ラザトークスにいるよりは気楽に過ごせるでしょう」

「確かに仕事はしているが、その、冒険者だぞ? 若い女の身で。その……大丈夫なのか?」


 最後の一言を言う際に声の音量を下げた侯爵に、ゴーゼは何も言えないでいる。本人がこの場にいる以上、口には出来ないだろう。


 女性の冒険者は少ない。なり手がないというのもあるが、何よりならず者共を集めたのが冒険者組合なので、そんな場所に入ろうとする女は娼婦よりも軽い存在に見られがちなのだ。


 実際、同じ冒険者による性的暴行の被害にあって辞めていく女性冒険者の数は多いと聞く。魔物や盗賊だけでなく、同業者からも身を守らなくてはならないのが女性冒険者なのだ。


 この問題に関しては、これまでの経験がものを言うヤードがぼそりと呟いた。


「こいつに手を出す猛者はいないだろう」

「てい!」

「痛っ!!」


 絶対いらない事を言うと構えていた通りだったので、ティザーベルは再び乙女の肘鉄(魔力による小強化、小威力増強付き)をヤードの脇腹にお見舞いする。今回は少し強めに入れたからか、悲鳴を上げた後に体をくの字に曲げて苦しそうだ。


「お兄さん、学習能力低いよね」

「な、何言って……」


 まだ痛みが続いているのか、呻きながらもそう返すヤードは顔色が少し悪い。結局夜通し襲撃者の相手をしていたのだから、体力的にもきついのだろう。


 ――……まだ若いけど、このくらいの年齢から衰えってくるものよね。


 そう考えた途端、隣でまだ苦しがっているヤードから冷たい声が響いた。


「おい、今何か失礼な事を考えてなかったか?」


 何故バレる。内心冷や汗をかいた事はおくびにも出さず、ティザーベルは愛想笑いを浮かべた


「別にー? それより、徹夜状態だけど、大丈夫?」

「この程度なら、仕事で慣れてるから問題ない」


 やっと痛みから解放されたのか、ヤードは脇腹を撫でつつ体勢を元に戻す。ふと見ると、侯爵達がきょとんとした顔でこちらを見ていた。


 彼等に対し、レモが普段通りの様子で伝える。


「見ての通り、一筋縄じゃあいかねえ嬢ちゃんだから。周囲の野郎共も、一度痛い目見りゃあ二度目はないだろうよ」


 暗に侯爵達が心配するような事はないと言ってるのは理解出来るが、もう少し言い様があるだろうに。


 もっとも、侯爵側にはきちんと伝わっているようなので、文句をつける訳にもいかない。若干、彼等の顔色が悪い気もするが、きっと気のせいだろう。




 デロル商会オテロップ支店には従業員用の寮があり、夜明け間近ではあるがそちらで休ませてもらう事が出来た。


 寮の部屋ががら空きなのは、例の問題児の起こしたあれこれが原因で従業員が辞め続け、結局ほぼ空になってしまったからだ。その辺りも、補償の範囲内に入るのかどうか。それを心配するのはベンジントの仕事だと割り切ってティザーベルはベッドで短い睡眠を取った。


 支店の方で朝食を出してもらい、食べ終わる頃には船の出発時間を知らされる。昼の鐘と同時の出発だそうだ。


 ゴーゼの話によると、侯爵は朝方のうちに帝都にいるオテロップ領主、ヘナゼイ子爵に子細を送り、代理統治権を仮で出してもらったそうだ。仕事の早い人間は、どこにでもいるものらしい。


 侯爵の使った手段は、帝都とほぼリアルタイムで連絡出来るものらしく、ティザーベル達が起きた時には既に街は私兵団によって代理統治されていた。


 元凶の問題児隊長と街のまとめ役に関しては、深夜のうちに侯爵の配下に捕縛されたという。そして、まとめ役に関しては意外な事実が判明していた。


「それにしても、騙りだったとはねえ」


 そう言いつつお茶と茶菓子を楽しむティザーベルに、ヤード達も同意している。


 まとめ役を務めていたボツロスは本当の名をボバルという。先代まとめ役ザトルの遠縁というのは真っ赤な嘘で、帝都で問題児隊長と悪さをしていた遊び仲間だったそうだ。


 本物のボツロスは、帝都での馬車の事故に巻き込まれて既に死亡しているらしい。ボバルはボツロスと顔見知りで、高齢の遠縁がオテロップでまとめ役をしているという事を知っていたそうだ。


 問題児隊長の次の赴任先がオテロップであるとわかった時点で、今回の計画を立てたという。巡回衛兵隊の動向など、中央は気にもしないとそれまでの巡回で知っていた問題児が中心になって考えたのだとか。


 丁度いい甘さの焼き菓子に幸せを感じつつ、ティザーベルは何気なくこぼす。


「とりあえず、本物のボツロス氏を殺してなかっただけましってとこかな?」


 五十歩百歩ではあるけれど。そこまでは言わなかったが、ティザーベルの言いたい事はレモとヤードには伝わったらしい。


「あの手の奴は簡単に人を殺しやがるからなあ」

「殺す度胸はなかったんじゃないか?」


 二人ともが、随分辛辣な事を言う。とはいえ、確かに虎の威を借る狐程度では、人を殺すのは躊躇するかもしれない。逆にあの問題児なら平気でやりそうだ。


 そんな二人は、これから帝都に送られるという。その事を話題に出すと、ヤードがぼそりと呟いた。


「今回は軍監察が内部不正を暴いた形だから、中央で裁くんだろう」

「そっか……」


 これまで犠牲になった住民が多くいる為、彼等の刑は重くなるだろうというのが侯爵の読みらしい。


 貴族が平民を虐げても罰せられないのでは、とつい思いがちだが、国民は等しく皇帝の財産で、各領主である貴族はそれを預かっているに過ぎない、というのが帝国の考え方なのだとか。


 今回、民を預かる貴族という立場にありながら、皇帝の財産たる臣民を損ない、しかも他者の領地での専横という事で実家にまで咎が及ぶそうだ。


「……隊員の方も、厳罰になりそうだってね」

「それも、仕方ねえな。いくら命令に従っただけとはいえ、今回は質が悪すぎる」


 レモの言う通り、彼等がやっていたのはかなり悪質な事だった。人殺しも許されない事だが、違法奴隷商に売り払われて他国に連れて行かれた人達がいるのだとか。


 現在その売買契約書から人数とどの国に連れて行かれたかの検証が行われているそうだ。わかった時点で買い戻しをすると侯爵は言っていたというが。


 その資金は、問題児隊長の実家から没収する財産を宛てるそうだ。庶民を苦しめて不当に得た金なのだから、被害者に還元するのが当然だと侯爵が息巻いていたという。


 何にしても、あの侯爵様が動いてくれるのなら、安心して任せられそうだ。




 結局、支店でだらだらと過ごしているうちに船の出発時間になった。朝食の後、ヤード達は自分達の仕事に向かっていた。例のギルドの抜き打ち視察である。あの問題児隊長を見た後だと、ギルドの方でも何かあったのではと疑ってしまうのだが。


 船の出発時間に落ち合った二人からは、特に変わった様子は見られなかった。


「そっちの仕事は大丈夫だった?」

「問題ない」

「あの衛兵隊やら私兵団やらの事は、さすがに依頼主も知ってたよ」


 さすがはギルド職員、耳の早さはどこも同じなのだろうか。もっとも、私兵団が朝早くから街のあちらこちらで衛兵隊の捕縛と私兵団が治安維持を行う事を大声で伝えていたから、どこかで聞いたのかもしれない。


 何にしても、初っぱなから何と濃い旅になった事だろう。ティザーベルは、この先も旅の無事を真剣に祈った。

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