数学的に正しい事は国語的には間違っていて、国語的な正しさを得ようとすると、数学的には間違った状況が発生するというジレンマを見事に活描した逸品です。
文系と理系はコミュニケーションを取ろうとしても、互いにかなり齟齬が発生する事は多い物です。これはどういう事かというと、やはり思考プロセスが違う。文系は基本的に国語的なルールに基づいて思考しますが、理系は数学的ルールに基いて思考をするからです。
そして概ね世の中の決まり事、要するに法律・指針というのは国語的ルールに基いて出来ています。要するに、文系が暮らしやすい仕組みになっています。ですので理系からすると世の中は『実に馬鹿馬鹿しい仕組み』で出来ている訳です。しかし、そんな世の中で生きないといけない訳で、その事を実に巧みなブラックユーモアに昇華している、素晴らしい傑作です。
本作は理系の人が考えている事が分からない文系の人に、とてもお薦めです。理系の思考プロセスを知る上で、本作は大きなヒントを与えてくれる事でしょう。