電磁気編 その1

追記:一部の人に不快な内容がありま・・・淫夢要素はないです。


 なんとレビューを見ていたら質問(ネタの提供)がありました。驚愕です。

 しかもとあるとあるでタイトルが始まる小説に出ていたような内容で、採用しようと思っていた作者と完全にネタ被り。電磁気編が先回しになりました。

 しかしこんなに分かりづらい文章なのに解説して欲しいなんて熱心な方ですね。(ダル絡み)ありがとうございます。


 さて、そのお題に入りましょう。

「スタンガンの電流を銃弾に当てて銃弾の軌道を曲げる」


 はえ〜すっごい神業。これもう(人間業か)わかんねぇな。なんでもその方の小説に出てくる描写らしいっすよ。じゃけん実現可能か考えていきましょうね〜。


 まあ最初に結論から言うんですが。


 この現象、理論的には可能です。ですが、作者の計算が間違っていなければ現実的には無理であると言わざるを得ません。


正直、計算が合っているか自信がないので間違っててもお兄さん許して。オーダーこわれちゃ~う。




 この現象を詳しく描写するに当たって、外せない要素は何個かあります。

「スタンガンの電力」

「スタンガンに磁石は付いているか」

「銃弾の軌道を変えた後のスタンガンの動き」


 ではまず銃弾が曲がる原理から。途中からこれらの要素が入って来るので、意識しながら読んでください。説明力が無くて申し訳ない。



 ここまで読んでい頂いている読者の皆さんは慣性の法則を理解していると思います。

 慣性の法則を分かっているあなたにとって、銃弾の軌道が変わるのだから銃弾に何らかの力が働いているという事は、EUのシステムがそもそも持たないものだったという事よりも明らかでしょう。

 つまり火を見るよりも明らかだという事です。


 EUー! EU見てるかー!? イギリスさんありがとう!(新規投資者並感)フラッシュ!


 下らないジョークはこの辺にしておきます。友好国ドイツに怒られそうだし。


 さて、では銃弾を曲げている力の正体さんですが。これはローレンツ力というものです。

 ろーれんつかではありません。ろーれんつりょく(幼女滑舌)です。

 ローレンツ力とは、「電流が磁界の中を進むときに電流が受ける力」のことです。

 おそらくみなさん忘れていると思います。授業中寝てたでしょ?

 僕も左手の親指と人差し指でかっこいいチョキを作ってから中指を人差し指と直角にして「いいセンスだ」って言ってみたのですが、これ何だっけ? なんか違くね? いやそれぞれが何かに対応してたよなー、親指から順に何だっけ? 

親指から順に「金! 暴力! SEX!」


 ・・・完全に覚えていませんでした。これをKBS左手の法則と言います。


言いません。本当はフレミング左手の法則と言います。

親指、人差し指、中指の向きがそれぞれ

親「電磁力の向き=ローレンツ力の向き」

人「磁界の向き」

中「電流の向き」

に対応しています。


つまりスタンガンで中指の方向に電流を流せば親指の方に銃弾が曲がるみたいな感じですかね。電流の向きはスタンガンの向きだけに依存、すなわち銃弾の速度とは関係がないとみなして、それでいいと思います。


ちょっと待ってください。磁界の向きとは何でしょう。必要がないのに出てきたのか、と言わざるを得ません。


そうです。磁界がないと銃弾は曲がらないんです。

では磁界とは何でしょう。磁石に関係がありそうです。あります。

磁界は磁石のN極からS極に向けて伸びています。どんなふうに出ているかは「磁界」でグーグル先生に教えてもらいましょう。矢印付きの画像がたくさん出てくるはずです。


つまりスタンガンで銃弾に電気を流すだけでは銃弾は曲がらないということですね。磁界が必要です。


磁石を探してまいりましょう。方法は二つあります。

地球の磁力を利用する事と、スタンガンに磁石をくっつけるの二つの方法があります。

スタンガンだけで銃弾を曲げた方がかっこいいのでまずは地球の磁力=地磁気を利用してみましょう。


(ローレンツ力の大きさ)=(電流の大きさ)×(磁束密度)×(電流が流れる導体の長さ)で与えられます。

簡単のため電流と磁場は垂直だということで。


弾丸を45°方向まで曲げれば避けられると考えましょう。

そのとき、ローレンツ力により弾丸が持っている運動量と同じだけの力積((力積)=(ローレンツ力の大きさ)×(ローレンツ力を掛けた時間))を与えれば45°まで曲がってくれます。

弾丸の重さを10グラム、速度を秒速300メートル(なんとなく平均値っぽいもの)と仮定すると、スタンガンの電流を及ぼせる範囲が3cmだとして、ローレンツ力を掛けることが出来る時間は0.0001秒となります。


計算しました。必要なローレンツ力の大きさはおおよそ30,000ニュートン。銃弾の直径(9mm)と地磁気の磁束密度から(日本においておよそ46,000nT(ナノテスラ))算出すると、必要な電流は


約72ギガアンペア。


鉛の電気抵抗が・・・面倒なのでいろいろと近似すると(ここ合ってるか分からない)30マイクロオーム。

オームの法則より必要な電圧は210万ボルト。

国内最強スタンガンの2倍くらいあります。


……考察は後にして次は磁石を乗っけましょう。

世界最強の磁石の磁束密度は91.4テスラだそうです。銅線が爆発するほどの磁力です。

ちなみに電磁石で、使用には恐らく莫大な電力を必要とするでしょう。

0.02秒だけ使えるらしいので、おっ余裕だな!(銃弾の速度と見比べながら)


計算結果は・・・

36キロアンペア=3万6千アンペア

ちなみに電力食いに定評のあるドライヤーですら1500W、すなわち15アンペアですからどれだけ大きな電流かはご察しで。

必要な電圧は1100ボルト。


さて結果から考えてみましょう。

磁力源ごとに必要な電力、エネルギーから考えます。


地磁気を利用する場合、必要なエネルギーはPJ級、

P=ペタとは、10の15乗。

もう計算が面倒なので大体原発100万基並のエネルギーでよいのではないでしょうか。

恐らく弾丸は溶けるどころかプラズマ化、いや素粒子より小さいレベルに分解されます。

発生する熱でスタンガンの使い手も死んじゃいますね。というか周囲何千キロメートルが吹き飛ぶことやら。

ですがもしそれらの問題をクリアできたとすれば、弾丸が避けた後もスタンガンは不動です。特に力は作用しません。便利ですね。


スタンガンに磁石をくっつける場合。

どうやら電力の桁はMJ、M=メガ、すなわち10の6乗くらい。原発1基か2基が一時間に生み出す分くらいのエネルギーで済みそうです。成人男性1000人分の一日の消費カロリーかも。周囲何キロメートルが吹き飛ぶことやら。

それでも銃弾は融解を通り越して蒸発しそうですけど。

スタンガンも恐らく蒸発します。


さて、銃弾を曲げた後のスタンガンの動きが問題になるのは磁石をくっつけた場合だけです。いろいろ溶けずに弾道が逸らせたとして考えます。

この場合、作用反作用の法則で、スタンガンに取り付けた磁石が、銃弾を曲げた力の反作用を受けてしまいます。


正直、0.0001秒という短い時間のうちに運動量を銃弾のそれだけ変えるとなると、ことになります。




以上のことから、残念ながらスタンガンで銃弾の軌道をずらすのは理論上可能だが実際には無理、だと言わざるを得ません。




それでも僕は言いたい。

電流で銃弾を曲げるのは不可能ではありません。これだけは真実を伝えたかった。

スタンガンの問題では銃弾が曲がる位置が至近距離なので45°まで曲げなければ被弾するということでこんなことになりましたが、某レールガンさんのように遠い位置から電流を流せたら、曲げる角度は1°だとか、その程度で良く、かなり小さくなります。同時に電流を流せる時間も長くなります。

すると必要なエネルギー量も二重に少なくなるって寸法ですよ。この差はとても大きいです。

多分ヤカンのお湯が沸くくらいのエネルギーで銃弾を曲げることが出来るのではないでしょうか。計算はもう疲れました。誰かやってください。もうゴールしてもいいですかね?

ちなみに電流を流さなければいけないのは鉛は鉄のように磁力に反応しないからです。だからローレンツ力を媒介にしなければならないのですね。


さてさて、策を用意すれば銃弾は曲げることが出来る、という感じで、今日はお暇させていただきます。

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