第35話 大学受験の失敗

大学受験の結果…大学は全部落ちたが、文教大学女子短大だけはかろうじて受かった……。


4年大学目指していたのに、大学全部落ちたのは、がっかり以外のなにものでもなかった。私の計画では4年間大学通ううちに小説家になるというのがあったのだが、そもそも大学自体が落ちてしまったら意味がないのである。4年大学に行くと、論文を書いたりするので、それによって下調べの仕方を覚えたりとか、いろんなものを覚えられるだろうと漠然と期待していたのだが、それはもくずと消えたのだ。

短大だって論文は書くだろうが、書く量もかけられる時間も違うのである。

正直どうしようかと思ったのだ。一浪して、もう一度大学を受け直すか、それともすべり止めで受かった短大に行くかどうか…。


一浪。それはとても重い言葉だった。いや、一浪が嫌だというわけでなく、一浪してまでして大学に入らなかった場合どうするかということである。万一そんなことになったら目も当てられないのだ。自分の力量を考えると、どうみてもそっちの方が濃厚なのだ。そもそもその短大にだって受かったこと自体が奇跡みたいなものじゃないかと思っていた。そうは言っても4年間勉強して小説家になるという夢も捨てきれず、私はやっぱり悶々としていた。


それでしばらく考えたのだが、私の答えは文教大学女子短大に行くことだった。どう考えても、自分の学力を考えれば、一浪したところで大学には行けないだろうと思ったのだ。もし本当に行きたければ、4年大学に編入すればいいのだ、もちろん自分にその学力があればという話だが…。


とりあえず、こうして私の熱病みたいな史学部への夢は消え、小説家になるという夢だけが、残ったのである。


これは母から後で聞いた話なのだが、母は担任の先生に言われたそうだ。

「あれ?○○さんは、一浪しないんですか。一浪すれば地方の大学なら受かると思いますよ」と。


う~ん、だったら地方でもいいから大学出てた方がよかったんだろうかと思う時も、正直あるにはある。就職してみると4大が有利であることは確かにあるのだ。でも東京の大学に通える範囲内にいながら、地方の大学に行くってどうなんだろうと思うわけで。というか、親にあれ以上金銭の負担かけてどうするとなるわけである。まあ結局のところ、現役時代にちゃんと的を絞って勉強しなかった自分の責任であり、学力のなさがいけなかっただけの話である。と、今なら言えるが、その当時の私は、残念無念の言葉ばかりだった。そして4大に行けなかった思いを抱え、鬱々とすることになるのである。

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