第32話 ミミと口紅
これは母から聞いた話なのだが、母が口紅をつけていると、ミミがきちんとお座りをして母の口元をじーっと見つめていたそうだ。どうやらミミは口紅のことを食べ物だと思ったらしく、母がその食べ物を与えてくれるのはいつだろうかと待ちかまえていたらしい。
それで母は、その口紅を持って、ミミにこう語りかけた。「ミミも化粧する?」と。そうして母はミミの口に口紅をつけてやったそうだ。つけ終わると「美人だよ」と言ってやったら、食べ物だと思っていたミミは何をされたか分からず、とても変な顔をしていたそうだ。
犬にとってみれば、化粧なんてなんのことだか分からないだろう。尚且つ肥満犬のミミにとっては、食い気だけがすべてである。どうでもいいから、食べ物ちょうだいと思っていたのだろう。それにしても口紅までも食べ物だと思っていたんだなあ、ミミはと。思わず笑ってしまうエピソードである。
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