第31話 ミミの体洗い
ミミの体洗いはミミの年齢とともにひどくなっていった。仔犬の頃は体が小さいのでまだよかったが、年とともにミミは肥満体となり、体を洗う面積がとても広くなっていったのだ。そのおかげで体を洗う時間はだんだんと延びていった。
仔犬の頃のミミは風呂場の中をあっちこっち動き回って洗うのがとても困難だった。ミミも体を洗われるのが嫌らしく、更に動き回る。尚且つ、あの体ぶるぶるである。なんだその、ぶるぶるっていうのはというと、シャンプーをつけたまま、犬が体をぶるぶる振るわせるあのしぐさである。あれは本当にシャレにならないぐらい大変である。犬もびちょびちょなら、こっちもびちょびちょになってしまうのだから、「ちょっとお!」と怒りたくなるのである。シャンプーやらお湯やらで、もうぐちょぐちょである。
うちの兄などはミミを洗う時は、そういうこともあって、裸になってミミを洗っていたものである。さすがに私は裸はちょっとなあと思い、Tシャツと短パンで洗っていた。それにしてもミミのぶるぶる攻撃はたまらなかった。
それもあったが、ミミが巨大化するにつれて、洗う体の面積が広くなり、私の洗う労力も半端でなかった。約1時間近くは風呂の中でミミと格闘し、その後はミミをドライヤーで乾かすが、その前に大量のバスタオルでおりゃああああ!と拭きまくるのである。拭いて、拭いて拭きまくってもミミの毛皮は、なま乾きである。拭いたバスタオルは全部ぐちょぐちょである。そして延々ドライヤーで乾かしてあげるが、体が大きいので、そんなに隅々まできれいに乾かないのである。ミミも乾かないと気持ち悪いらしく、もういいかなあと思って、風呂場からミミを出すと、あっちこっちに体をなすりつけて水気をとろうとしていた。この場合犬のトリマーとしては失格であるが、正直途中で嫌になるのである。もういいだろう、乾かすのこれぐらいでとなることが大半だった。何しろ犬の体洗いというのは重労働である。ある意味根気が必要な作業なのである。
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