第25話 小説を書く

小説家になるなる中学の時から言っていた私だったが、実際小説を作り出したのは高校1年の時からだ。

その頃読んでいた本は児童文学よりも純文学を読んでいた。夏目漱石や川端康成といったいわゆる文豪といういわれる方達の本を読んでいた。あとは星新一さんのショートショートだったり、北杜夫さんの「幽霊」が好きであったりと、結構堅めな感じが多かった。


読書熱的には冷めていて、小学生の頃のように夢中になって読むということはあまりなかった。というか、児童文学はあらかた読んでしまったので、おもしろい本がないということにぶち当たっていた。しかし一方で小説家といったら、夏目漱石のような、ああいうものを書くべきだろうとなんとなく思っていた。

そういわけで、一番最初に書いた小説は父と娘の確執を書いた小説だった。舞台は日本で、父に反抗する娘、そして父の書いた日記をたどっていくうちに娘の心がほぐれていくような話だった。しかしまあ、この話最後まで書き切ることはなかった。なんというか、文章書いてる自分に酔ってしまっている自分がいたわけで、本当にその主題を書きたくて書いてるわけでもなかったので、まあ挫折するのは目に見えていたわけだ。しかしその小説は一番最初に書いた小説だったので、ああでもないこうでもないと書いたり消したりの連続だったので、一年あまりも時間を費やすことになった。で、最後まで書き上げることなく終了である。


その一方で、胸踊るような冒険活劇や読んでいて面白いという本がないことを嘆いていた。子供の頃読んだ本は面白い本ばかりで、いつもどきどきわくわくしていた。そのわくわくする本がないというのは、なんとつまらないことだろうと真剣に思っていた。そしてそのうち、じゃあ自分で面白い本を書いてしまおう!ということになった。


しかし書くといっても何を書けばいいのだろうと思っていた時、夏の夜中に目が覚めて、窓の外を見ると、白い月がのぼっていた。辺りは青白く輝き魔法がかかったように見えた。その時私は思った。そうだ。月の夜から始まる冒険物語を書こうと。その冒険物語は、今現在は小説家になろうサイトに載せている「月の光(1)」(https://ncode.syosetu.com/n3334dh/ )という物語である。結局この物語は16歳の時から出だしを書き出し、いろいろああでもないこうでもないと書いたり消したりした結果、仕上がったのは28歳の時である。しかもこの物語、予定では三部作の予定なのだ。とりあえず今現在第一部が完結しているだけである。で、今第二部を書こうとしている最中である。

出来はというと、自分で言うのもなんだが、間違いなく駄文である。というのは、第一部の結末がいまいちなのだ。それでも自分なりに考えた結末であり、どうしてもゆずれないのである。最初のうちは面白い冒険物語を!と思っていたのだが、気がつけばダーク・ファンタジーへと走っていってしまった。しかもバッドエンド。誰が読むの?と訊かれれば自分しか読まなそうな勢いである。


まあ、いわゆる処女作がこれに当たるのではないだろうかと思う。一応第一部は完結しているので。しかしこの処女作のおかげで、私の描写力は、ぐーんと上がったのである。書いては消し、立ち止まって、ずっと書かなかったこともあったが、最後まで書き続けることで、力はついたと思う。

誰からも歓迎されない作品であっても、意味はある。と思うようになったのは、ここ最近のことで、高校生の時は、ただただ、終わらない物語を抱え、悶々としていたわけである。しかしそれもまた青春である。そして処女作っていうのは、きっと報われないものなんだろうなあと思うわけである。まあ、よっぽどの天才さんなら、話は別だと思うが、私のような凡人さんは次回作へつながるようにやるだけが精一杯なんだと思うわけである。







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