第24話 高校生活その1

結局ワンランク下の高校に無事に受かった私は、なんとなくぼんやりしたまま、その高校に通うことになる。今更ながら後悔していると言っても、正直ワンランクさげたおかげで、学校の勉強がそんなに難しくなく、ある意味楽だった。中間、期末のテストの前日ぐらいに、徹夜でがんばれば、暗記教科に関してはいい点取れたし、数学は変わらず苦手だったけど、とりあえず真ん中ぐらいの成績ではあったので、よしとした。


しかしそれはそれで、自分って頭いいのかなあ?ってちょっと錯覚してしまうことがあった。文系の教科に関しては、軒並みオールなんたらになっていたので、ひょっとしていい大学行けるかなあ?と、ちょっとうぬぼれだしたのだ。まあでも全国の模擬試験受ければ自分の本当の力など丸分かりである。そりゃあ、まあそうでしょ。テストの前日にがんばってるくらいじゃあ、大学受験に太刀打ちできる力などつくはずもないのだから。


しかし、そもそも私の目標は小説家になることだった。小説家といえば、早稲田の第一文学部出身が多かったりするので、単純に早稲田行きたいなあと思っていた。まあ、憧れめいたものでもあるし、強迫めいたものでもあった。早稲田出ないと作家になれない!ぐらいの思いこみがなぜかあった。まあ、大学出たからといって、なれるってもんじゃないだろと今なら分かるんだけど、ものすごく単純な性格だったので、早稲田を出れば、きっとなれるというその気持ちは高校三年間ずっと続くことになる。


じゃあ、そんなに受験勉強していたのかというと、高校行くまでの電車の行き帰りに英語の単語帳眺めてたぐらいで、あんまりしなかったなあという感じである。それで早稲田に受かるはずもなく……。まあ、そのことはあとで述べる。


しかし実のところ、小説家の他にも、もう一つ夢があった。それは考古学者。なぜかというと、その当時インディ・ジョーンズが私の中では大フィーバーしてて、考古学者ってかっこいい!なってみたい!と、ものすごく単純な理由からなりたいと思っていたのである。それもあったが、エジプトの謎っぽいのも大好きだったし、歴史自体は好きだった。大学受験の時は、西洋史で受けようと思っていたのだが、1年の時は世界史の授業があったのだが、2年から日本史しか授業がないという話を途中から言われたのだ。


というか、世界史で授業を受けたいという希望者が私しかいなかったという話である。それなので、私はエジプトとかそっちの方やりたいのに、世界史受けれないってどういうことだ!と、その当時真剣に悩んだわけである。しかしまあ、悩んだところで学力自体がないので、そんなに悩む必要などなかったわけである。しかし悩んでしまうところが、若さというか、青春なのだ!無謀すぎる悩みこそが若さの象徴であると、今の私ならそう思うが、まあ、当事者にしてみれば、悶々としていたわけである。かくして私の青春は恋にときめくこともなく、そういったどうでもいい野望に費やされていくのである。

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