第23話 転校

中学2年の終わりに私は転校することになった。単純に家の引っ越しで学区が変わるということでそういう話になったのだが、まさか中学2年で転校生になろうとは思いもしなかったのだ。


そもそも新しい家というのが、もともとの学区からそんなに離れていないので、こんなに近いのになぜ学校が変わらないとけないのかと不思議でしょうがなかった。親と一緒に教育委員会に、受験も控えていて大事な時期なのでなんとか転校しないで済みませんでしょうかと相談に言ったが、駄目ですので一点張りでどうにもならなかった。


えっ、私転校するの??? まさに寝耳に水で。しばらくぽかんとしていた。まあでもちょっと学校変わるぐらいだよねえ~と、ぼんやりと思っていた。友達からも、なぜこんな大事な時期にと不思議がられた。


そう言われてもなあ~と、私が決めたことでもないしと。もともとあんまり受験意識のない家庭だったので、親も熱心ではなかった。そのせいもあってか、一回教育委員会に相談に行ったぐらいで終わってしまったのである。


今にして思えば、ものすごく後悔している。あの時親がもっとがんばって言ってくれていれば、あの時自分も絶対転校嫌ですと言っていれば、その後の進路が変わっていたような気がするのだ。


なぜなら、転校した中学校はものすごく偏差値の高い中学校だったからだ。以前いた中学校は、特にそんな努力をせずともまあ普通ぐらいの成績でいられたのだが、転校した中学校はレベルが高く、すぐに成績に現れた。あっというまに成績が落ち、私は受ける高校のレベルを下げるしかなかった。まさかそんなことになろうとは思いもしなかった。


結局教育委員会ほどあてにならんものはないなあと思うわけである。やはり大事な時期に転校というのはよくないのである。そしてある程度の自分の意志って必要なんだなあと今にして思うのだ。まあ、のほほんとしていた中学生だったので、自分もよくなかったなあと、今更ながら自分の責任を感じるのだ。

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