第21話 ミミとメトロノーム
メトロノームといえば、ピアノのリズムをとるために作られたもので、振り子のように左右に振れて、カチッカチッと鳴るものだが、本来ピアノなどで使うものだ。うちにもリズムをとるために、置いてあったが、実際ピアノで使うことはほとんどなかった。しかしその小気味のよい音は、なんだかおもしろく、暇な時はそのリズムの音を早くしたり、遅くしたりして遊んでいた。
ミミにとってもそれは同じだったらしく、私がメトロノームを動かしていると、寄ってきてその不思議な音に耳を傾け、首を傾げた。このカチカチ鳴る音はなんだろうと理解できなそうな表情を浮かべている。そして振り子が動くのも気になるらしく、目で真剣に追い、そのうち頭も一緒に動き出した。ちょっとおもしろくなって、私がメトロノームを超早で動かしてみると、ミミも興奮してきて、ミミの肉球パンチが飛び出し、メトロノームはガタリといって止まった。
メトロノームは壊れなかったので、まあ、よしとする。「駄目だよ、ミミ」と言いながらも、ミミが首を傾げて見ているのがおもしろくて、結構そんな遊び方をしていた。
ミミにとってはメトロノームはどういうものに見えたのだろう。生き物に見えたのだろうか、怖いものに見えたのだろうか。ミミの心の内が知れたら、すごくおもしろかっただろうなあと思うのである。
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