第20話 ミミのおなら
ミミのごはんもそうだが、ミミのおやつもちょっと贅沢だった。私がアイスクリームを食べていると、ミミは私に向かってくう~、くう~と鳴き始めるのだ。そしてつぶらな瞳で見つめてきて、きちんとお座りしてせいいっぱいのアピールをするのだ。そんなミミを見ていると少しぐらいあげてもよいかという気になって、ちょっとだけあげることもあったが、基本私もアイスクリーム好きなので、知らんふりして食べ続けることが結構あった。が、母がいる時は事情が異なる。私がアイスクリームをほおばって、ミミにあげないでいると、母はミミも食べたいよねと言って、アイスクリームを一本持ってきて丸ごとあげてしまうのだ。
あまい、あまい。うちの母はミミにはとってもあまいのである。
そんなあまい母はケーキを買ってくる時は必ずミミの分もまるごと一個買ってきた。そしてミミに惜しげもなく与えたのである。ミミもケーキというのは、とてもうまい!ものであることを熟知しているらしく、あっというまに平らげてしまうのだ。もうちょっと味わって食べればいいのにと私はいつも思っていた。今のワンコのおやつなら、犬用のケーキが売っていて、ヘルシーなように作られているみたいだけど、ミミを飼っていたのは昔のことなので、そんなものなど売っていず、人間が食べるケーキをそのまま食わしていたわけである。
まあだから太るわけなのだ。尚且つ、ミミのおならだって、かなり臭いのである。他のワンコも同じかどうかは分からないのだが、ミミのおならはすかしっ屁だった。音の鳴らない分、とっても臭いのである。人間と同じ物を食べているから人間並の臭さになってしまうわけである。
一度ミミがおならをして、自分のそのおならの臭さに驚き、不思議そうな顔をしていたことがあった。ミミも驚く臭さに思わず笑ってしまったが、それにしても臭いなあと思ったものである。
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