主人公の心理描写、奥様との絶妙な駆け引き、作品の丁度良い長さ等、読む事に何の不快も感じませんでした!素晴らしいの一言です!
インターネットサービスの向上と言えば、VRMMO世界を題材にした物が多く見受けられますが、多様なサービスが展開される事は当たり前で、主人公が使用したサービスも当然発達すると考えられ、かなり素直に受け入れられました。
それも含めた設定も申し分なく、特に奥様との掛け合い等は絶妙で、奥様の、女性の心情がとても良く垣間見えました。
特にバッドエンドが基本的には嫌いな響さんとしては嬉しいラストで、心が温かくなりました。
本当に大切な事、物、人は、失って気付くと言うのが世の常なのですが、主人公がそうならなくて何よりでした。
こう言った作品がもっと多く出回れば、皆さんきっと小説を読む事が好きになると思いました。
一方的に愛される経験をすると、愛というものが分からなかった人を確実に変えますよね。無償の愛の尊さ……。
”どんな条件の人なら愛せるか”という問いに、”愛というのは決意であるのだから、条件は関係ない”と言った人がいて、この作品の彼女は、その人を思い出させます。
夫婦のどちらかの持つ”最後まで寄りそう決意=愛”は、愛を知らない相手の全ての個人的わだかまりを溶かしていく……。
”小説”というものが素晴らしいのは、長い一生をかけて実体験で学んでいくべきことを、作中の各々を俯瞰で眺めさせることによって、現実の”学び”を追体験、それぞれの人生から得られる教訓を示唆してくれるところ、と改めて感じさせてくれますね。