血の涙って……             090

90 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色はかはらず

 みせばやな じまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし いろはからず


【カテゴリ】女子悲恋

【タグ】女性 貴族 平安後期 千載集 恋 涙


【超訳】見せてあげたいわ。

あなたにも見せてあげたいわ。ただ涙でぬれた袖じゃないわよ? 血で染まってるんだから。


【詠み人】殷富門院大輔いんぶもんいんのたいふ

藤原信成の娘。後白河天皇の皇女、亮子りょうし内親王(殷富門院)に仕えた。


【決まり字】みせ(2)


【雑感】以前に「松島の雄島」や「袖」、「濡れる」などを踏まえて詠んだ歌をなぞらえて詠んだそうです。以前の歌は涙で袖が濡れていると詠いましたが、こちらはその袖の色が血の色に変ってしまったと詠みました。血が出るほどに嘆き哀しむ様子を「血の涙」を流すと漢詩で表現されていたそうです。

 血の涙をながすほどのことってどんなこと? もうこの時代の女性がお気の毒でなりません。なんだか……、現代に感謝しないといけないのかもしれませんね。

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