友は人生のタカラモノ             084

84 長らへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき

 ながらば またこのごろや しのばれ うしとみしよぞ いまはこしき


【カテゴリ】人生、時代

【タグ】男性 貴族 平安後期 新古今集


【超訳】そういうもんじゃね? 

この先も生きてたらさ、今ツラいって思ってることも懐かしく思い出すんじゃね? 前にキツかったよな――って思うことも今は懐かしいもんだろ?


【詠み人】藤原清輔朝臣ふじわらのきよすけあそん

左京大夫顕輔(79)の子。


【決まり字】ながら(3)


【雑感】「どんなに苦しいことも、時が過ぎれば、すべて懐かしい思い出に変わるはず」という今にも通じそうな普遍的な思いですよね。

 友人が昇進できずに悩んでいるのを見て、慰めるために詠んだ歌だそうです。そして自身も恵まれた境遇ではなかったとも。

 

 きっと笑って懐かしく思える時がくるからさ、という前向きな友情の歌ということでしょうか。百人一首ではなかなか見かけない友情の歌。贈られたご友人にはこの歌がどんなにか励みになったことか。そしてこんな歌を贈ってくれる友人に恵まれたことがなによりのこの方の宝物。

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