扉だって憎たらしい 085
85 よもすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり
よもすがら ものおも
【カテゴリ】女子悲恋
【タグ】男性 貴族 平安後期 千載集 恋
【超訳】ムカつくわ、あの隙間。
一晩中あなたを想っていても、夜はなかなか明けてくれないの。早く寝室の隙間から朝の明るい光が差し込んでくれたらいいのに、いつまで経っても暗いままなのよ。
【詠み人】
源俊頼(74)の子で東大寺の僧であった。
【決まり字】よも(2)
【雑感】僧侶である俊恵法師が女性の立場にたって詠んだ歌です。ひとりで恋しい人を想っていても、なかなか夜は明けてくれない。部屋の扉などの隙間から朝の光がさしこんでくれればいいのに、いつまでも暗いままだから、あの隙間だって恨めしいわ。夜なんて来なければいいのに。早く朝になってしまえばいいのに。
女子って考えがどんどん派生していって、とんでもないことに八つ当たりしますよね。今回の被害者は寝室の扉(建具)。というかそこの隙間。あの隙間さえ明るくなればいいのに、ムカつくわ、何よあの暗い隙間!! さっさと明るくなりなさいよ。この方、随分とオンナゴコロをご存知でいらっしゃる。
52番の「あけぬれば~」と対照的な歌です。52番は「もうずっと夜だったらいいのに。朝になんてならなきゃいいのにね」と恋人と過ごす夜のトキメキを男子が詠っております。対するこちら。つらすぎるから早く朝になって! もう夜なんていらないわ! ……、ね? 女子はこう思ってるのですよ。一夫一婦制ならねぇ。こんなに嘆く女性が減ると思うんですけれどね。
この時代の女性が今の時代を知ったらどう思われるんだろう。夫ひとりに対して妻はひとり。男子も女子も伴侶以外の人とつきあうことは許されない。罪を犯してしまうと容赦なく非難される。
羨ましがってはくれそうですけれど、ワタシも「妻」というお座布団の上でのうのうとあぐらをかいてばかりいないで、「夫」の監視にばかり目を光らせていないで、時には姿勢を正して女子力を高めねば、と思ってみたりはするのです。思うだけはね。明日からそうしようかな。ま、そんな急がなくても来月には、うん、機会があったらね。そうね、まぁ来年になったら思い切って……。たぶんね……。きっとね……。おそらく…………いつかはね。
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