願うは世界平和             083

83 世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞなくなる

 よのなかよ みちこそなけれ おもいる やまのおくにも しかぞなくなる


【カテゴリ】人生、時代

【タグ】男性 貴族 平安後期 千載集


【超訳】逃げられはしないということ。

辛い出来事から逃れられる方法などないんだ。思いつめてこの山奥に来たとしてもね。ここでも鹿の鳴き声は悲しく聞こえるね。


【詠み人】皇太后宮大夫俊成こうたいごうぐうのたいふとしなり

藤原俊成のことで、この小倉百人一首の撰者藤原定家(97)の父。


【決まり字】よのなかよ(5)


【雑感】平安末期の戦乱期だそうです。世をはかなんで出家してしまう人も多かったそうです。その中には親しくしていた佐藤義清のりきよがいました。のちの西行法師(86)です。彼が出家したときに詠んだのがこの歌とされています。ただこの方は世の無常を嘆きながらも出家を思いとどまります。


 82番の「おもひわび~」に続くツライ世の中。まぁ、確かに日々の暮らしが穏やかでなければツライですよね。それが自分でどうにもできない事態だとしたらなおさらに。

 ニュースで戦争や理不尽な事件を聞くたびに、そうした思いは抱きます。聞いた人は心を痛めます。何百年たっても不条理なものは不条理で、嘆くことも多いことです。

 

 世界中が穏やかに和やかに……、過ごせないものでしょうか。

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