金色《こんじき》の波、茜色の空     071

71 夕ざれば 門田の稲葉 おとづれて 蘆のまろやに 秋風ぞ吹く

 ゆうざれば かどたのいなば おとれて あしのまろやに あきかぜぞふく


【カテゴリ】秋

【タグ】男性 貴族 平安後期 金葉集


【超訳】いいもんだよね。秋も。

夕暮れにさ、黄金の稲穂が波みたいに揺れてさ、風の音が聞こえて、この蘆葺きの小屋にまで涼しい風が吹いてきてさ……、いいもんだよね。


【詠み人】大納言経信だいなごんつねのぶ

源経信。源俊頼としより(74)の父。俊恵法師しゅんえほうし(85)の祖父。和歌、漢詩、管弦に優れ、「三船の才」と称された。


【決まり字】ゆふ(2)


【雑感】現在の京都市右京区あたりの山荘で詠まれた歌だそうです。この時代の貴族たちは御所近くの邸宅に加えて、洛外の田舎にも山荘を持ち、自然の情緒を楽しんだそうです。今でいう軽井沢の別荘といったところでしょうか? 

 波打つような田んぼの稲穂。吹き渡る涼しい風。そうした風の音。視覚、聴覚、触覚に訴える新しい感覚の和歌だそうです。

 この秋の歌からはあまり寂しさは感じないかも。稲は実りの象徴ですしね。黄金色の稲穂が波打つさまは見事でしょうね。しかも夕暮れに。なんだか風の谷のナウシカのラストシーンを想像してしまうのは私だけでしょうか。

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