報・連・相《ほうれんそう》       059

59 やすらはで 寝なましものを 小夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな

 やすらで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな


【カテゴリ】女子悲恋

【タグ】女性 貴族 平安中期 後拾遺集 恋 月


【超訳】寝とけばよかったわよ。

あなたがね、来ないんなら妹だってさっさと寝られたのに。あなたを待ってたら月が西に沈んでいくじゃないのよ。


【詠み人】赤染衛門あかぞめえもん

一条天皇の中宮彰子に仕える。和泉式部(56)、紫式部(57)とならび、梨壺の五歌仙のうちのひとり。


【決まり字】やす(2)


【雑感】妹のもとへ通ってくるはずのカレが訪れなかったことを妹の代わりに詠んだ歌だそうです。

 もうね……。だから、行くなら行くと知らせて、きちんと行きましょうよ。行かないなら行かないで「ごめん、今日は行けない」って連絡しなさいよ。「今日は来てくれるのかしら。逢えるのかしら」って待っているだけの女性の身にもなってみなさいよ。一夫多妻が認められているからといって、そんな女性のフォローもできないんだったら、複数の女性のところに通いなさんな。……と現代のオバサンは思いますけれど。報告・連絡・相談。今も昔も重要だと思いますよ? 

 自分がこの時代で待つだけの身というのもツライけれど、自分の妹や娘がこんな境遇だったら黙っていられないわ。まして来るはずのカレが来ないだなんて、母親としては殺意すら覚えるかも。娘の部屋の前で仁王立ちして待ち構えるかも。そんなことしたら、もっと通ってきてくれなくなっちゃいます? 

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