今も昔も悩みは同じ?          044

44 逢ふことの 絶えてしなくば なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし

 あことの たえてしなくば なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし


【カテゴリ】男子悲恋

【タグ】男性 貴族 平安中期 拾遺集 恋


【超訳】逢わなきゃよかった。

もしうまくいかなければ、キミの態度がつれないとかオレの気持ちが伝わらないとかケンカすることもなかったんだよ。


【詠み人】中納言朝忠ちゅうなごんあさただ

藤原朝忠ふじわらのあさただ。三条右大臣(25)の息子。三十六歌仙のひとり。


【決まり字】あふこ(3)


【雑感】これも40番と41番の歌が競い合った「天徳内裏歌合」で詠まれた歌だそうです。お題は「恋」で勝ったこちらの歌だけが百人一首に選ばれています。特定の誰かを想定して詠んだ歌ではないそうです。

 こんなにつらい想いをするなら、会わなきゃよかった、好きにならなきゃよかったって思うこと、今でもありますよね。未来がわかるならね、そりゃ好き好んでつらい恋愛しませんけどね。


 でもね、10番の蝉丸さまの歌で、「出会った者は必ず別れる運命にある」なんてなんだか寂しいから、ワタシは「出会わなければ別れる運命にすらなれない」と思えるって書いているのですが、それと同様、「つらい想いをしたくないから恋愛しない」では寂しいような気がするのです。

 うまくいくかどうかはわからないけれど、人を好きになることはきっと自分を成長させてくれることも多いだろうし、最初から恋しないって決めなくてもいいことだよね。そしてつらい恋になってしまっても、できうるなら人の所為にせず、がんばって乗り越えないとね。選択をしたのは自分なんだし、自分でなんとかしないとね、なんて偉ぶって書いていますが、第三者だから言えることなのかも。自分はぐだぐだですから。何百年経っても恋の悩みは変わりませんね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る