恋の病から覚めると……         042

42 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは

 ちぎりちな かたみにそでを しぼりつつ すえのまつやま なみこさじとは


【カテゴリ】男子悲恋

【タグ】男性 貴族 平安中期 後拾遺集 恋


【超訳】約束しただろ? 

オレたちの想いは変わらないって約束したよな? ふたりで泣きながらそう言ったよな? なのになんだよ、ありえねぇだろ。こんなことが起こるのかよ。


【詠み人】清原元輔きよはらのもとすけ

清原深養父きよはらのふかやぶ(36)の孫で、清少納言(62)の父。三十六歌仙のひとり。


【決まり字】ちぎりき(4)


【雑感】「末の松山」とは現在の宮城県多賀城市にある小高い丘でそこを波が超えるとは考えられないため、男女の永遠を示す象徴だったようです。

 清少納言(62)の父である作者が失恋した友人に代わって詠んだ歌だそうです。末の松山を波が越すなんて有り得ないこと。そんなことが起きるわけがない。ふたりでそんなことは起こりっこないと約束しましたよね? と詠んでいます。


 まぁね、盛り上がっていればね、「オレたちはずっとこのまま変わらない」なぁんて思いもするでしょう。「そうよね、私達が離れるなんて有り得ないわよね」なんて彼女も言ったかもしれません。それこそ「末の松山を波が超えるなんて、ない。ない」とふたりで笑いあったのかもしれませんよね。

 それが恋の病から覚めると案外簡単に超えちゃうんだ。波が。末の松山を。いやそもそもが有り得ない高さの末の松山じゃなくて、もっと低い山だったのかもよ? もしや砂浜の草花のような……。と言ってしまうのは冷めすぎ? ですか?

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