閑話休題③ データいろいろ

今回は百人一首にまつわるデータをご紹介します。  


【年代】和歌番号の001天智天皇(626~671)から100順徳院(1197~1242)。

 時代でいうと、飛鳥時代から鎌倉時代まで。ざっくりいうと、大化の改新からいい国つくろう鎌倉幕府まで。和歌というと平安時代と思っていませんでしたか? ワタシがそうです。意外と幅広い年代の歌を集めていたのですね。ベストアルバムですよね。600年間の。なんだかとっても壮大。

 当エッセイでは6つの時代に区分しています。

 飛鳥時代   5首

 奈良時代   2首

 平安時代初期 13首

 平安時代中期 46首

 平安時代後期 25首

 鎌倉時代   9首

 

 今600年間のベストアルバムを作るとしたら、室町時代からですよ。応仁の乱が1467年。そこから戦国時代を経て、江戸時代、明治維新、大正ロマンに昭和の時代から現代まで。そんなスケールの大きいことをなかなか考えませんよね。偉大です。先人の方々。


【男女比】男性が79人。女性が21人。

 女性が社会的には表に出ない時代だったので、これでもよく21人の女性の歌が採用されたというべきなのかもしれません。それでも恋の歌などは女性側からの嬉しい気持ちや辛い気持ちなども多々歌われたのでしょうから、もっと女性の歌が入ってもよいような気もします。だって男の人と女の人でやりとりするのが恋の歌なんだから、男の人の詠む恋の歌と同じくらいの数の女の人の恋の歌が存在するはずですから。

 それに景色を愛でるのだって女性ならではの感性があるでしょうし、人生についてだって、身近な人が離れてしまう別離の歌だって待つ側の女性の歌も読んでみたいものです。まぁね、さらに興味を持つのなら百人一首だけでなく、それらが選ばれた和歌集(古今集など10の歌集)や専門書を読めばいいといってしまえばそれまでなんですけれど。


【身分】男性79人の内訳は天皇7人、親王1人、官人58人、僧侶13人。女性21人は天皇1人、内親王1人、女房(宮廷に仕えていた女性)17人、母2人。

 高貴な身分の方々ばかりです。身分社会だった当時。恐らく才能があったとしても低い身分では名前どころか和歌すら残せなかったことでしょう。和歌を選ぶ人も選ばれる人もある一定の身分より上の方々。その方達の中で才能ある方を探したのでしょうね。その中でも官位の高い方は作者名が役職になっています。右大臣○○とか中納言□□とか。逆に本名の方はさほど官位の高くない方だそうです。まぁ、身分社会ですね。


【分類】四季の歌が32首(春6、夏4、秋16、冬6)、恋の歌が43首、旅4首、離別1首、雑(その他)20首。

 これが一般的な分類だそうです。やっぱり多いですよね。恋の歌。それはそうですよね。季節の美しさも人生の儚さも素敵な歌だけれど、胸がときめいたり、締めつけられたりするのは恋の歌ですもんね。「わかるわ~」と共感してみたり、「なんでそうなの?」と反発してみたり……、今も昔も恋バナは盛り上がるもの。

 当エッセイでは独自の分類にしてみました。恋の歌があまりにも多いので男女に分けて、なおかつラブラブ編と悲恋・失恋編に分類しました。それから雑の歌を人生編と旅・離別編に分けました。四季の歌は基本的にそのままですが、歌によっては恋や人生に分けた歌もあります。それから作者は男性だけれど、女性の気持ちを詠んだ歌は女性の恋の歌に入れました。


 和歌番号は時代順だとお話しましたが、30番台後半から50番台のほとんどが恋の歌です。時代で言うと藤原道長が全盛期の平安時代まっただなか。清少納言の『枕草子キラキラエッセイ』や紫式部の『源氏物語イケメンハーレムストーリー』が流行った時代です。時代的にも戦乱もなく落ち着いていたのでしょうか。代わりに乱れ咲いたのが恋の花々だったのかしら。特に男子の「色ボケ」な歌がここに集中しています。悲恋もね、もちろんあるのですけれどね。それに引き換え女子の恋の歌はほぼ切なく哀しいものばかりです。想いが叶っていても哀しい歌が多いです。

 この時代の特徴なのでしょうね。女子はひたすら耐えて忍んで哀しんで。この時代の女子の幸せって何だったのかしら、とふと考えてしまいます。

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