月のような 031
31 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪
あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき
【カテゴリ】冬
【タグ】男性 貴族 平安中期 古今集
【超訳】月の光かと思ったよ
しらじらと明るいから月の光だと思ったんだよ。有明のね。降り積もった雪の白さの明るさだったんだね。
【詠み人】
三十六歌仙のひとり。
【決まり字】あさぼらけ あ(6)
【雑感】明け方目が覚めると外がほのかに明るんでいる。月の光かと思って外を見てみると一面真っ白の雪の世界だった。
子供のころ、朝起きて雪が降り積もっていたときの感動を思い出します。雪は年間でも何回か降る程度、積もるなんて1年に1回あるかないか程度の気候の土地で育った私には雪景色は特別なものでした。それこそ窓の外のいつもと違う景色に歓声をあげました。普段の景色をすっぽりと雪の帽子で包み込んだような自宅の庭。冬の朝の弱い太陽の光を受けて白く反射する世界。
普通の住宅街の雪景色ですら感動的なのですから、風光明媚な吉野の里の雪景色はどんなだったのでしょうね。あの頃のお屋敷だから障子越しにいつもとは違う白く柔らかい明るさを感じたのでしょう。ああ、きっと月の光だ、明け方に昇ってくる有明の月の光だ。そう思って外を見てみた。障子を開けて。するとそこは白雪の世界だった。一面白一色の吉野の里。お屋敷から見えたのは手入れの行き届いたお庭や吉野の山々? お庭の木々も草花も地面も一晩で白い綿の衣装をまとった。反射する光も白い。空すらも白い。
吉野は現在の奈良県の吉野山一帯を指します。桜、紅葉、雪の名所として当時もよく知られており、歴代の天皇もよく行幸されたそうです。都の人の憧れの土地だったそうです。今も変わらず桜や紅葉、そして雪の名所であり続けていてくれることに何より感謝です。何百年もその自然や景観を守るのは大変なことと思います。
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