白の世界                029

29 心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花

 こころあてに おらばやおら はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな


【カテゴリー】秋

【タグ】男性 貴族 平安中期 古今集


【超訳】見分けつく?

テキトーに折っちゃおうとしたら折れると思う? 初霜が降りていて真っ白過ぎて、霜なんだか白菊の花なんだかよくわからないよね?


【詠み人】凡河内躬恒おおしこうちのみつね

詳細は不明。三十六歌仙のひとり。特に叙景歌に優れていた。


【決まり字】こころあ(4)


【雑感】晩秋の朝、庭を眺めると霜がおりていて一面白い世界に。そこには白菊の花が咲いていたのだけれど、白い花なのか白い霜なのか見分けがつかないくらいだ、その景色を愛でた歌だそうです。

 ピーンと張り詰めた空気感まで伝わってきそうです。ハーッと息を吐いたらまた白の世界にもうひとつの白が加わりますね。美しい白の氷と花の世界です。薄氷のような空気。吸い込むと清らかなのど越しを感じられそうな空気。冷たさだって心地よい。

 学校へ行くとき率先して踏みしめませんでしたか? 霜柱。子供達が通り過ぎた通学路は数え切れない元気な運動靴の跡。美しい晩秋の景色から元気な晩秋の光景へチェンジ。

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