3 平安中期( 895 ~ 1068 )
待ちぼうけ 021
21 今来むと いひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな
いまこ
【カテゴリ】女子悲恋
【タグ】男性 僧侶 平安中期 古今集 恋
【超訳】ど――なってんの?
「今から行くから」って言うからずっと待っているのよ? 長い夜をず――っと待っていたら明け方の月が出てきちゃったじゃないの。一体どうなってるの? (ダマされてるの? フラれるの?)
【詠み人】素性法師
僧正遍昭(12)の子ども。三十六歌仙のひとり。
【決まり字】いまこ(3)
【雑感】歌人は男性ですが、女性の立場になって詠んだ歌だそうです。男性が女性の気持ちを歌うって今でもありますもんね。歌などで。この頃も和歌の遊びとして女性の立場になって詠むということが楽しまれていたそうです。
有明の月とは夜明けに昇ってくる月のことです。月の周期は29日で一周しますが、26番目の月のことを言います。一般的には満月を過ぎた16日以降の月、または明け方に昇ってくる月をさします。
今とは違ってこの頃の女性は自分からは出かけられません。お寺参りなどのお出かけなども生涯に数えられるほどだったはず。いくら当時が通い婚だといってもそれは男性が女性のもとへ通ってくるスタイル。夜にやってきて朝には帰って行く形式。女性は待つしかなかったわけです。おまけに一夫多妻。今度はいつ逢えるのかしら。いつ来てくれるのかしら。
そこへ彼氏から(夫から?)「今から行くから」なんて文が届いたら、そりゃ待ちますよ。キレイにおめかししてずーっとずーっと待ちますよ。そしたら何? もう夜明けじゃないの。濃紺の空が紫がかってきたじゃないの。どうなってるの? あの文はなんだったの? ってそりゃなりますよね。
これも一晩待ち続けたけど来なかったという説ともう何か月も待っているのに通ってきてくれないという説とあるらしいです。どちらにしても「すっぽかし」。どうして行くなんて文をよこすのかしら? ねぇ。
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