出会っては別れ、分かれては出逢い    010

10 これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関

 これやこの ゆくもかるも わかれては しるもしらぬも あふおうさかのせき


【カテゴリ】旅、別れ

【タグ】男性 貴族 平安初期 後撰集


【超訳】人生いろいろ……だよな。

ここがあの有名な逢坂の関か。地方へ行く人も都へ来る人も、知っている人も知らない人もここで出逢ったり、別れたりする逢坂の関かぁ。


【詠み人】蝉丸

天皇に仕える官位の低い官僚だが、詳細は不明。逢坂山に住んでいた。盲目で琵琶の名手であった。


【決まり字】これ(2)


【雑感】坊主めくりをしたことがある人なら、「蝉丸――!」と叫んだことありませんか? 地域によってルールはいろいろのようです。ワタシの場合は確か蝉丸を引いたら負けが決定したような気がします。おぼろげですけれど、マイナスの事態に陥ったような記憶があります。そして場が一番盛り上がるのはこの蝉丸を誰かが引いたときでした。調べてみると、1回休みとか全員の手札がもらえるとかさまざまなルールがあるようです。皆さんのルールはどうでしたか? 数百年後のカードゲームで一喜一憂されるだなんて、蝉丸さまが一番驚いていらっしゃるでしょうね。


「出会った者は必ず別れる運命にある」という仏教の教え「会者定理かいじゃじょうり」があるそうで、そうした思想が反映している歌だそうです。

 出会った者は必ず別れる運命にある、なんてなんだか寂しい気もしますが、「出会わなければ別れる運命にすらなれない」とも思えませんか? 

 必ずしもいい出会いばかりではないかもしれないけれど、やっぱり出会いには感謝です。歓迎できない出会いはなるべく早くお別れしてしまいましょう。素敵な出逢いは大事にしましょう。大切に大切に育みましょう。「出逢えてよかった」なんて素直に言える人に出逢えればいいのですけれどね。異性だけじゃなく、同性にも。パートナーだけでなく、友人にも、親にも、子供にも。いや、ないですよ。そんなことを言ったこと。

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