緑に白のコントラスト          002

2 春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香久山

  はるすぎて なつきにけらし しろたの ころもほすてふちょう あまのかぐやま


【カテゴリ】夏

【タグ】女性 天皇 飛鳥 新古今集


【超訳】 もう夏なのね。

 ほら見て。夏に使う白い布が新緑の香久山に干されているわ。新緑に布の純白のコントラストが綺麗よね。それにしても、もう春は過ぎちゃったのね。時の流れは速いわね。


【詠み人】持統天皇

 第41代天皇 天智天皇の第二皇女で叔父である大海人皇子おおあまのおうじ(のちの天武天皇)の后となる。天武天皇崩御ののちに天皇に即位した女性。「万葉集」の歌人としても有名。


【決まり字】 はるす(3)


【雑感】この方は天智天皇(1)の娘で叔父の天武天皇の后となられた方。政略結婚なのかしら。ねぇ。父親の弟のお嫁さんになるなんて。いまじゃ考えられないんだけれど、この頃はこうして血族の結束を固めていったのかしら。お家の為に高貴な女性は大変ですよね。そうして親が縁談をまとめて会ったこともない人に嫁ぐなんてことはこのあとも随分と続くんですものね。

この持統天皇をモデルとした漫画が里中満智子先生の「天上の虹」です。ごめんなさい、読んでいないのでご紹介だけにしておきます。

 さて、こちらの歌。衣というのが、神事に使う布だったり、伝説の天女の衣だったり諸説あるようですが、香久山の緑とのコントラストがとっても綺麗だと歌っているようです。緑といっても初夏らしい若い黄緑や薄い緑の葉を纏った山。浅葱色。萌黄色。ファッションに敏感な女性がそろそろ夏物よね、衣替えよね、今年の流行はどんなかしら? と新緑の香久山を眺めながら感じたと言えば超訳しすぎかしら? 

 それにしても春だと思ってたのにもう夏なの? 時の流れは速いわね、なんて感じるのは現代のワタシ達と同じですよね。おまけに年を重ねるとその速さが年々スピードアップしている気がするのはきっとワタシだけではないはず……ですよね? 


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