彡(^)(^)「お。ドラゴンも選べるんか!? 蹂躙したろ。」
彡(^)(^)「みろぉ! 人がゴミのようだ!」
俺は今、最高にテンションが上がっている。
眼下にはすでに崩落を始めている豪奢な王城があった。
魔法美少女達の懸命な魔法障壁も、ドラゴンが放つ高密度な火炎放射には耐えきれなかったようだ。
城下町に連なる大小様々な家屋を掠めるように飛行する。
背中から生える一対の翼は、一度羽ばたくだけでこの巨体を雲の上まで連れて行ってくれる。
重力の束縛から解き放たれ、生物として最強種に君臨したことによる優越感はたまらないものであった。
腹の中に溜めた魔力を口笛のようにして吐き出すだけで、青を通り越した、輝く純白の炎が噴き出される。
この世に具現化した白炎による熱量は、その周囲数百メートルを一瞬で炎に包む。
運悪くその熱量に去らされた王都の民は熱さを感じる間もなく蒸発した。
彡(^)(^)「強すぎる! 強すぎるで! 敵なしやないか!」
半壊した王城のテラスには、数名の魔法使いにより守られている女性がこちらを睨み付けていた。この国の姫様なのだろう。
彡(^)(^)「堪忍やで。ちと性能テストしたかったんや。すまんな。」
結果は大満足。
この体ならば、何かの拍子に死ぬこともない。誰かにやられることもない。
さんざん城下町を破壊しつくし、それからどこまで空高く登れるかを試した。
彡(゚)(゚)「パイロットはこの光景をいつも見とるんか。ええなぁ・・・。こんなん見惚れてまうわ。」
星の丸みを感じることが出来る高さから見る夕焼けは、この世のモノとは思えない美しさを持っていた。
真っ赤に染まる夕焼け。しかし自分のいる場所から真上を向けば、手の届きそうな場所に星が瞬く宇宙が広がる。
幻想的、という陳腐な三文字では表現できない、自然の雄大さ、素晴らしさを痛感した。
彡(゚)(゚)「ワイもこの自然界の中で活動する一生物なんやと痛感するわ。」
沈みゆく夕日を最後まで見送り、さて、寝床はどうしようかと考えた。
「ねえ、そこのお兄さん。私と良いことしない?」
ちりちり、と鼻筋辺りに何かを感じると同時に、そんな声が聞こえた。
きょろきょろと辺りを見渡しても声の主は見当たらない。
しかし、何度も呼ぶ声に、徐々にその方向が分かり始めた。
羽を広げ、滑空するように声の方向へ向かう。
彡()()「・・・でかっ!」
「ふふ、可愛い坊やね。いらっしゃい、こっちよ。」
このドラゴンの体も相当デカいと思っていたが、目の前のドラゴンは俺よりも二回り以上も大きかった。
清涼感溢れる青色系統で統一された俺とは違い、相手は艶やかな朱色に包まれたドラゴンであった。
彡(^)(^)「種族的な視点からみると、めっちゃ美人やんけ! さっきの姫様くらい美人やで! こんな美人とイイ事できるとか、ワイの運もようやっと上向いてきたで!」
朱色のドラゴンに誘われるがまま、彼女の後をついていくと、次第に見えてきたのは真っ赤な溶岩を垂れ流す活火山であった。
山の中腹辺りには大きな穴が開いており、そこへ朱色のドラゴンは降り立つ。
俺もそのあとに続き、中へと体を滑り込ませた。
奥のほうには大きな部屋があり、多数の木材によって巣が形成されていた。周囲には餌となった動物の骨が散乱している。
朱色のドラゴンの呼びかけに応じ、巣の中へ足を踏み入れる。
そっと相手に近づくと、可愛い女の子から漂うシャンプーのような、甘い香りが漂ってきた。
「んふふ、慌てん坊さんね。」
くすり、とかわいらしく笑う朱色のドラゴンに、俺の胸はキュンと高鳴った。
たとえ種族が変わろうとも、交尾の仕方は本能が知り尽くしているのだろう。
俺と朱色のドラゴンは激しく交合い、最高のひと時を過ごした。
「いいわぁ・・・最高よ・・・もっと、もっと激しく・・・。」
朱色のドラゴンはにこりと微笑み、お互いに鼻先を触れ合わせる。
俺はその言葉に従う。
徐々にこみあげてくる何度目かの射精感に備え、歯を食いしばって腹部へ力を籠める。
そして、その瞬間が来た。
メリメリ ブッチン
そんな音が、自身の骨を通じて脳に響き渡った。
何が起きているのか、俺には全く理解できなかった。
自身の首が、朱色のドラゴンに食いちぎられる。
そんな光景を見せつけられた。
首を失った俺の体が激しく痙攣し、最後の射精を行う。
朱色のドラゴンの膣に入りきらず、溢れ出た白濁の液が床を濡らす。
砂嵐が走る世界。
色を徐々に失っていく世界。
朱色のドラゴンがこちらを見下ろし、柔らかな優しい笑みを浮かべていた。
「私の糧となり、安らかにお眠り。慌てん坊さん。」
大きく口を開いた朱色のドラゴンが首を伸ばしてくる。
俺の頭をそっと加え、そのまま喉の奥へと飲み込んでいく。
鼻先から胃酸の海へと落ち込み、見開いた眼球へ容赦のない強酸が染み込む。
切断面から流入する胃液に口内の粘膜をやられ、ビリビリと脳に強烈な電気信号が走った。
声も出せず、ありったけの筋肉が悲鳴のように痙攣を起こし胃の中で暴れまわる。
壁面から染み出す胃液の量は徐々に増え、あっという間に頭部はすべて酸の海へと埋没した。
生命力の強さが仇となり、生きたまま食われる恐怖を嫌というほど味わった。
徐々に溶けていく己の体と、体内へ染みわたる強酸の激痛。
暗闇の中で痛覚だけが存在を主張するように脳へと刺激を与え続けた。
早く死ね。ひと思いに殺してくれ。
俺は長きにわたる酸の侵食を受け、肉体が受ける極限の痛みを堪能した。
その痛みは肉体に留まらず、魂にまで及ぶ。
人間的な思考が出来なくなるほどのダメージを受けた魂は肉体のように自己修復されることは無い。
深く損傷した魂は何もかもを見失い、己の存在すらあやふやなモノへとなってしまった。
それは何も出来ぬまま、長き時間を経て擦り切れ、消滅した。
何かがあったその場所には一文と二つの選択肢が残されていた。
---コンティニューしますか?---
はい
いいえ
彡(^)(^)「おっ。転生できるやん。行ってみよか。」 荒尾さん @ARAO
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