第6話ソラニイク

空を飛んだ。


地を離れ、他人の手を離れ、私は漸く自由になった。


「鳥に近付いてはいけないよ」


優しく暖かく微笑みながら、天使が私に告げる。


「近付けばたちまちに、君の目玉はつつかれるから」


私は鳥たちから離れた。


「太陽に近付いてはいけないよ」微笑む天使が告げる。「近付けばたちまちに、君の体は照らされ焼けて灰となるから」


私は太陽から離れた。


「地面に近付いてはいけないよ」笑う天使が告げる。「地に足着ければたちまちに、影は君を捕まえてしまうから」


私は飛び続けた。


雨が降った。


嵐が起きた。


鳥にも太陽にも地面にも近付けず、私はただ飛び続けた。


擦り切れ疲れ、朽ち果てながら、私は思う。


私は――自由になったんじゃあなかったのか。


天使が、笑う。


私の為に、私の自由を奪いながら。

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言の葉、散らさぬように。 レライエ @relajie-grimoire

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