銃創について

銃創とは、銃弾によって体内外に生じる傷のことを指します。射創という言い方もありますが医療関係向けの用語のようなので、広く通じるのは銃創だとは思います。この辺はもし創作活動をされている方なら作品に合わせて呼称を変えてみるといいかもしれません。

一般の映像作品や漫画等では撃ち出された銃弾の弾頭は、装填時の形状を保持したまま体内を貫通し飛び出すかそのままエネルギーを失い体内に留まる描写が用いられる場合がありますが、そういった状況は稀で、これまでの銃弾の紹介で挙げたホローポイント弾をはじめとして、銃弾の多くは非常に強力な殺傷力を持ち、着弾時に弾頭が潰れたり裂けるなどの形状変化によって著しい体組織の破壊を引き起こします。

その際、銃弾が人体に撃ち込まれた部分、つまり着弾し体内に銃弾が侵入した部位を射入口、銃弾が体内を通過し出来た穴を射創管、飛び出た部位を射出口といいます。


また銃創には大別して二つ、盲管銃創と貫通銃創があります。

盲管銃創は銃弾が体内に残留したもの、体内に残っているものを言い、対して貫通銃創は銃弾が完全に人体を貫通して体外に排出されたものを指します。


さらに銃弾との接触状況などによっては、表皮の剥脱や皮膚を溝状に抉る擦過銃創、掠っただけだ的なものがこれにあたり、頭部に着弾したことによって頭骨内で銃弾が旋回してできた回旋銃創、頭の中をぐるぐる回る感じの稀にあるやつや、跳弾によって出来た傷である跳弾銃創、遮蔽物を通り抜け着弾する間接銃創など着弾時の状況によって呼称が変わるものもあります。


ここから距離に応じて、接射銃創、準接射銃創、近射銃創、遠射銃創とに分けられます。


接射銃創とは、文字の通り銃口を接触させて銃撃したことによってできた銃創です。射入口には、銃弾の痕だけでなく燃焼時に生じたガスや煤煙、ライフリングとの摩擦で剥離した銃弾の一部などが体表及び体内に付着します。銃口を強く押し付けた状態で発砲したのなら、射入口は燃焼ガスで焦げ比較的綺麗な円形を保ち、銃口と皮膚が強く密着しているので煤煙なども体表には広がらず体内に付着します。

緩く押し付けた状態、あるいは斜めに押し付け銃口の半分が皮膚と接触していないなどの状態での発砲では僅かな隙間から漏れ出る可能性が高いので、煤煙その他諸々が射入口周辺に付着する場合もあります。

また銃口を強く押し付けた場合、高圧の発射ガスが射入口から入り皮膚と骨の間で膨張し皮膚が限界を超え裂けることで星型や十字型の裂創を及ぼすこともありますが、腹部など柔軟性のある皮膚には吸収され先述した状況と同じものになる可能性の方が高いです。ですので、胸部や頭部などに限られたもので必ずしも起こるものではないと覚えておいてください。


準接射銃創。こちらは皮膚との接触こそされていないですが銃口と身体との距離が近い場合を指すものです。ほぼ接射銃創といったところですね。射入口とその周辺を覆うように煤煙が付着します。


近射銃創は比較的近い距離から発砲された際のものです。イメージ的には手を伸ばしたり一歩進めば触れるくらいの距離で撃たれるとかそんな感じでしょうか。近射銃創では燃焼時に残った火薬粒が銃口から飛び出して皮膚に接触し食い込むことにより、接触部が赤茶や橙色に変色するパウダートゥーイングと呼ばれる現象が発生します。銃口から放射状に広がるので、皮膚にはパウダートゥーイングによる斑点模様が射入口周辺広範囲に散らばります。パウダートゥーイングは火薬粒が皮膚に埋まるので水でさっと洗い落とすなどは厳しいですが、撃たれても生きていた場合は治癒します。また赤色のパウダートゥーイングは生前の状態で起こる反応で、死後の場合灰色または黄色を帯びるので銃撃が死亡前後かをこれで判断することが可能です。


遠射銃創は遠い距離から銃撃された際の傷です。銃撃戦でできる傷となると大抵はこれになるのではないでしょうか。煤煙もパウダートゥーイングも見られず、接射銃創から近射銃創までは体の状態から銃撃距離を判定できるのですが遠射銃創はそれが難しくなります。というかほぼ不可能です。


当然これらはハンドガン、ライフル、ショットガンなどの銃種、用いる弾種によっては正確に再現できるものとは限りません。間接銃創では飛び散ったガラス片やドアの木材などが皮膚に突き刺さる等で射入口が歪な形状に変化する場合もありますし、ショットガンでは散弾の種類や撃つ距離、撃たれた場所で銃創は著しく変化します。特に頭部の接射銃創ともなると、高圧ガスと纏まった散弾が頭骨を吹き飛ばし、映画のようにきれいに頭が無くなることはなくとも内側から爆発したように顔面の皮膚のいたるところが裂けて中身がぴょこっと飛び出すような凄惨な光景になることも珍しくはありません。


この国では手に触れる機会が限られているため想像しにくいかもしれませんが、銃とはたった一発でもこのような傷を簡単に与えてしまう道具です。トイガンであろうとそれは変わりません。プラスチックの弾も目に当たったりしたら大変ですしね。

ですので、そういう危険な一面を持ち合わせた道具であるということを少しでも意識してもらえれば幸いです。創作にしてもそうですね。少年少女が平気で仲間に銃を向けたり所構わず撃ったりと結構雑な扱いをする作品も多くなりましたが、だからこそせめて作者の方々には軽視するのではなく危険性を知った上で扱ってもらえればなと。

もちろんそういった作品を否定するわけではないので、あんまり固く考え過ぎずにやってもらった方がいいとは思います。美少女の二挺拳銃とか私も好きですから、ええ。ただ少しだけでも、心の隅にでも留めておいていただければな、と。銃は頼もしくもあり、危険な道具なのですからね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る