銃のカスタムについて

 架空銃、オリジナルのカスタム銃などは小説や漫画といった創作物の世界では当然のように存在するものです。

 そこで自分も考えてみた!と実際にやってみたところでふと、これって本当に実戦で使えるのかな?こんなことを思ったりしませんでしたか?

 これまで解説したものを読んでいただけたのならご理解してもらえているでしょうが、銃は意外に複雑で色々面倒くさいものです。

 ですので、どこを気にして考えれば無理なく実戦でも使えそうなオリジナルの銃を作れるか、そのポイントを今回は解説していきたいと思います。

 ですが、創作世界においては何よりも実用性よりロマンやかっこよさが求められる場合も多々あります。ですのでそんなに深く考えず、誰がなんと言おうとこれが俺の銃だ!みたいなノリで作っても私は全然構わないと思いますよ。



 オリジナルの銃にありがちなものとして、とにかくいろんな装備を乗せまくった銃がありますね。

 スコープやドットサイト、グレネードにサプレッサー、さらに連結され2個も3個もくっついた弾倉などなどです。

 しかしよく考えてみてください、それだけ乗せて実際にその戦闘で使うものはどれでしょうか?全部ほんとうに使いますか?

 自分自身で考えていただけるとわかりやすいかもしれませんね。あなたは装備品付けやボディーアーマーを着た状態で、その銃を持って戦場を走りたいですか?ということです。

 何かしらトイガン等を持っている方は実際に持ってみてその感覚を体感できるかもしれませんが、架空銃を書く創作者さん全てがそういった資料を持っているわけではありません。頭の中で想像するだけではどうしても補えない物があるのですが、これは仕方がないですね。

 それを責めるわけではなく、そういった方もいるからこそ、架空銃を書く際は私のものでなくても構わないのでこういった資料や実銃トイガン等の動画を見ていただければと思います。 

 とはいえ、実際に持ってみるのが一番わかり易いとは思います。

 たとえば、国内メーカーなら東京マルイさんはお値段も他社に比べ比較的安いですし、ラインナップも豊富な上ミリタリーショップはない普通の通販サイトでも取り扱っている場合が多いのも魅力です。

 初めての方は触って壊しそうと遠慮しがちですが、普通に扱う分、まして撃たないのであればそんなに壊れることはないので安心してください。きちんと説明書にも取り扱いの仕方は書いてありますしね。

 比較的創作物に登場しやすい拳銃は約1万前後の物が多いですし、ライフルも安いものなら2万か3万円ちょいで買えるものもあります。

 創作の資料用に購入するのは何も大げさなことではなく、ミリタリー系の作品を書いてる人でもやっているくらいなのでそんなに気にしなくても大丈夫ですよ。

 ただ弄るのが楽しくなって創作活動が疎かに〜なんてことにはならないでくださいね。M4とAKは買ってはいけない(戒め)

 次からは少し実際の銃ではどうなのかという話を交えて解説していきます。


 

 先ほどの話にも出ましたが、あまりにも不必要にごてごて乗せるのは外見はかっこよくなるかもしれませんがあまり実用的ではありません。

 必要のないものがついていればそれだけ重量が増えますし、銃自体が大きくなって取り回しがしにくくなり下手をすれば余計扱いにくいものになるからです。

 実際の兵士、特にアメリカ軍の装備を見ると結構色々盛ってる銃もありますが、それでもチームとして行動するための最低限度の装備にとどまってます。無意味につけてるわけではないですね。

 軍でもないならフォアグリップのような銃の保持を補助するものや照準を定めるためのドットサイトやスコープ程度でもいいとは思います。

 あとは、目的に合わせてグレネードやバイポッドといった目的に必要な分の装備を追加するといった感じで。

 


 短銃身の銃も場合によってはその長所が仇になってしまうこともあります。

 確かに短い分取り回しがしやすく銃そのものも軽量で携帯しやすくなり、ここだけ聞くとすごく便利なものではありますが同時に欠点もあるんです。 

 銃弾が発射される過程で、薬莢内の火薬が燃焼しそれにより生じた高圧のガスが銃弾を押しながら銃身内部で加速させライフリングによって弾道を安定させます。

 つまり銃身が短いと、弾丸の加速距離が短くなり、ライフリングによる弾道の安定化もしにくいという結果になるのです。

 これによってどうなるかといえば、加速距離がなく弾道が安定しないので遠距離射撃での精度が保証されません。近距離戦用とまでは言いませんが、どうしても長い銃身の銃には命中精度の面で劣ってしまいます。射程距離自体も短くなりますね。

 また、銃身が長ければその分銃身内のスペースが広くなり、銃弾が銃身内部を進めば進むほど内部のガス圧が少しずつ低下するのですが、短銃身ではそうなる前に弾丸が銃口から出て行ってしまうため高圧のガスがそのまま銃口から噴き出し、強力な発火炎 (マズルフラッシュ)や反動が発生します。

 銃声も大きくなり、短銃身のため銃口と銃を保持する手の距離が近くなってもしかしたら発火炎で手を焼いてしまう可能性もあります。それに反動がきつくなるのも命中率を低下させる要因の一つです

 さらに、銃口付近にサイトがつくライフルなどは短銃身化によりフロントサイトとリアサイトの距離が短くなると、視差 (パララックス)が大きくなりこれもまた命中率を下げることになります。

 なので、どれがいいというのは状況によりますね。前に最強の銃の記事で解説しましたが、幅広い状況に対応可能なものはあっても、どのような状況にも対応できる銃や装備というのはなかなか無いものです。

 


 拳銃をライフル並みにカスタムするのも、そこまで実用性のあるカスタムではありません。

 何よりも拳銃のメリットである携行性を犠牲にしてしまうので、それなら連射もできるサブマシンガンやPDWでもいいじゃんということになりかねません。

 ですが、実際に外国の警察がグロック用のカービン化できるコンバージョンキットを使っているらしいので、MP5がいいけど高い、みたいなお金のあまりないところでならそういったものが活躍できる場合もあるのかもしれませんね。


 

 本来規格された以上の弾薬を用いたものもそうですね。

 これに関しては、最近の銃は複数の弾種に対応可能なものがあり全てがおかしいものとは一概に否定出来ないのですが、明らかにその銃が使える弾の口径よりも大きかったり炸薬量が増やされているものはちょっと実際には運用できないものになってしまうかもしれません。

 銃は稼働するパーツも多いので構造上脆い部分もあり、本来規格された弾種よりも大口径のものを扱うと威力に耐え切れず部品が破損してしまう可能性があります。

 素直にそのたまに対応した銃を選択するのが一番ですね。あるいは弾に対応できるように内部も弄ってあるという設定ならいけるかもしれませんが。



 拳銃の長銃身化やロングスライド化もです。

 かっこいいですが、スライドの重量が増えると正常に動作しなくなりジャム等の動作不良の原因になります。

 長銃身も拳銃の利点である軽量で携行性が高いという性質を損なっていますしね。



 銃に彫刻を入れるのは実際の中でもやっているものなので、これは自由で構わないと思います。

 確かに実戦向きではないですが、銃なので弾を装填すれば撃てますし実用性を著しく損なうというものでもありません。

 拳銃ならスライドやグリップ周辺、狩猟用の散弾銃なら機関部周辺にされているものが多いようです。

 金や銀に塗装したりそういう素材を使うのもですね。ただあまりにも銃が目立ってしまうとさすがに戦闘に不向きになってしまいます。

 軍じゃなければ金色の銃とかでもいいとは思いますけどね。


 

 創作オリジナルの特殊弾を使う場合も、素材や形状で銃身が傷つく場合があるとは思いますが大抵撃てるように調整してある等の設定が組まれているはずなのでまあ大丈夫でしょう。

 その他銃の部品を改良する場合は過去にも記事で書きましたが、トリガーを軽くすれば暴発の危険がありますし、逆に重くすれば連写すると指が痛いし銃がブレる要因になります。

 銃身は耐久性を上げて太いものにすればその分重量が増えますし、薄くすれば破裂の危険や連続発射で銃身が熱で焼けやすくなるといったデメリットが有ります。

 ストックも固定式ストックは強度があり丈夫ですが銃が大きくなり取り回しがしづらくなってしまいますし、伸縮式にすればその点は解決できますがぶつけた時に破損したりストック内部にメンテナンス用のクリーニングキット等のものを入れられなくなる場合も多いです。

 


 まあ色々と書きましたが、かっこ良ければそれでいいんだ、的な部分も創作の世界にはありますし創作者さんのしたいようにするのが一番です。

 せっかくの創作物なのであまりリアルに足を引っ張られず、自由な発想で考えてもらったほうがいいものが出来上がると思いますよ。

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