近頃のSMG

 チェコのVz.61(スコーピオン)や、イスラエルのウージーなど、有名なサブマシンガン(以下SMG)は沢山ありますね。

 ですが、最近の戦場でそういったSMGを持っている画像を見る事は少なくなった……ような気がします。

 それはなぜか、というのが今回の内容となります。


 SMGは、狭い空間での取り回しが容易で、狙って撃つよりも弾をばら撒くことに特化した性質上、近距離では凄まじい火力を発揮しました。

 また、狙って撃つ必要のある銃よりも簡単に操作でき、構造も比較的単純なものが多く、低コストで作れるのが魅力です。

 ただ、第2次大戦時まではそれでよかったのですが、高精度・高威力で弾が連射できるアサルトライフルのような銃が登場し始めると、SMGは近距離戦での主力装備としては不十分となっていきます。

 最近になると、ボディアーマーの普及により、テロリストなどもそういった装備を付け、SMGが使う拳銃弾では効果が薄くなってしまったことも原因の1つですね。

 これにより、現在の軍では限定的な場面以外ではほとんどSMGは使用されていない状況となっています。


 あくまでここまでは、軍での話です。

 では、軍以外ではどうなのかというと、警察などの法執行機関では、今もSMGが使用されています。

 

 それは、これまでのSMGの弱点だった命中精度を克服した、MP5の登場が大きいでしょうね。

 弾をばら撒くのが主体だったこれまでのSMGと違い、H&K社のMP5は簡単な狙撃が出来るほどの精度を持ったSMGでした。

 

 ライフルは威力があり過ぎ、貫通して他の人に当たってしまったり、狭い空間では取り回しもし辛いです。かといって拳銃では命中精度に難があり、人質を誤射してしまう可能性もあります。

 そんな中で、MP5はこれまでのSMGと同じ拳銃弾で使用に適した威力を持ちながら、高い命中率を誇っていたので各国の警察は次々にMP5を導入し始めました。

 

 MP5が従来のSMG以上に信頼が置かれているのは、これまでのSMGにはあまりなかった、しっかりとした固定式のストックを装備していたことや、セミオートとフルオートどちらでも高精度の射撃が可能という事、そして様々なバリエーションが存在するということからもきています。

 欠点があるとすれば、構造上従来のSMGより複雑で整備がしづらい点と、やや価格が高めになってしまった点ですが、これは法執行機関ではそれほど問題となるわけでもありません。

 

 SMGが使われなくなったというよりは、これまでとSMGに求められる性能が変わってきたせいで、名銃とも呼べるVz.61やウージーなどの従来のSMGの活躍の場が減ってしまった、と言った方がいいでしょうか。

 また、先ほど言った通り、軍でもまったくSMGを使わないというわけではなく、一部の国ではウージーなど従来のSMGを使っている軍も存在します。

 ですが、ここ最近はカービンライフルの銃身をさらに短くしたものや、ライフルとSMGの中間的存在のPDWの普及により、またちょっとSMGの立場が危うくなっている感はありますね。


 戦闘と言っても色んな状況があります。その中にはSMGのような存在が一番適したシチュエーションも必ずあるはずです。

 ですので、SMGは役に立たない、なんて風には思わないでくださいね。適材適所、それがあるからこそ、まだSMGは使われているのですから。

 

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