弾丸の種類1

 弾丸の種類について解説します。

 これも基本的なものだけの紹介に留めておきます。

 今回は弾頭を主に、次回は45口径弾など口径別で弾丸の種類を解説します。



 まず、弾丸の形状にはいくつか種類があり、弾頭が丸いものが『ラウンドノーズ』、弾頭が平らになっているものが『フラットノーズ』と区別されています。

 これは弾頭形状の総称で、そこからさらに構造別で派生します。

 


『リード (Lead。またはレッドとも)』


 被甲されていない、鉛剥き出しの弾頭です。

 非常に柔らかく、着弾すると弾が潰れるため貫通力はあまりありませんが、その分人体の破壊力は高いです。

 また、発火時に溶けやすく、形状変化してしまうため飛距離が出ず遠くを狙うライフル弾には適しませんし、銃身内部などに溶けた鉛がこびり付き動作不良を引き起こしてしまう恐れがある為、実戦向きではありません。

 ですが非常に安価で、射撃後のメンテナンスもこなせる人ならうまく使える弾かもしれません。



『フルメタルジャケット(Full Metal Jacket。略はFMJ)』


 弾頭全体を合金で覆った弾頭です。恐らく、一番メジャーな弾かと。

 リード弾の様に溶ける事もなく硬いですので、貫通力があります。

 また、軍はこの弾を使うことを条約で定められています。

 それと、映画などに登場するものの多くはラウンドノーズですが、フラットノーズのFMJ弾も存在します。


 

『ソフトポイント(Soft Point。略はSP)』


 弾頭の先端部分だけが被甲されていない弾で、リード弾とFMJ弾両方の特性を備えています。

 そこそこの貫通性能と破壊力を持っていますが、リードの弱点の溶けやすい面も多少ですが受け継いでます。



『ホローポイント (Hollow Point。略はHP)


 弾頭先端にくぼみを持たせた弾頭です。

 着弾時、マッシュルーミング(弾頭がキノコのような形に変形する状態)が起こり、開いて大きくなった弾頭が回転しながら体組織を切り刻んで破壊する非常に強力な弾頭です。

 また、これもいくつか種類があり、前述した弾頭と組み合わせた、リードホローポイント (LHP)、ジャケッテッドホロ―ポイント (JHP)、セミジャケッテッドホロ―ポイント (SJHP)などがあります。

 どれもそれぞれの弾頭にホローポイントの効果を足したものになっていて、JHPは貫通力を持たせたHP弾、LHPは被甲されていないHP弾となります。

 他にもハイドラショックやブラックタロンと言った会社独自の弾もありますが、それについての紹介は今回は割愛させていただきます。

 ただ、一つだけ。シルバーチップと呼ばれるJHP弾があります。これは、銅などの代わりにアルミやニッケルなどで被甲した弾で、銅被甲の弾より軽量でより着弾時に広がりやすくなってます。

 そして何より、弾頭が銀色です。かっこいいです。銀の弾丸のようで、絵的にも映えるかもしれません。



『アーマーピアシング (Armor Piercing 。略AP)』


 いわゆる徹甲弾です。

 弾丸の芯に硬質の物質を入れ貫通力を増したもの……なのですが、弾頭が尖ったもの(ライフル弾のような弾頭)全般をさす場合もあったりちょっと曖昧です。

 また、拳銃弾でもAP弾はあるので、ある程度ならボディアーマーを貫通できる確率を上げれます。ですが、所詮拳銃弾なので過信はしないように。



『ショットシェル』


 こちらはショットガンに使用するものではなく、拳銃に装填可能なものの説明です。

 各種口径に対応しているようですが、発射後すぐに拡散し始めるようで、数メートル程度しか効果はなさそうです。

 また、最近ではショットガン用のショットシェルを撃てるリボルバーも開発されたので、ただでさえ薄い影がさらに薄くなる可能性も。

 ですが、リボルバーはシリンダーにそれぞれ違う弾を入れ、選んで撃つことが可能なのでこういった特殊な弾を創作で使ってみるのもいいかもしれませんね。



『バードショット』


 ショットガンのショットシェルの種類です。

 こちらは弾頭ではなく、中に詰まっている小さな粒の種類になります。

 バードショットはその名の通り鳥撃ち用で、非常に小さな粒が、多いもので数百個も入っているものです。

 人体に撃っても効果は薄いと思われがちですが、粒1つ1つが鉛で体に毒ですし、細かすぎて食い込む場所によっては手術でも摘出が不可能だったりと非常に危険です。



『OOバック (ダブルオーバック)』


 大粒の弾が詰められたショットガンの弾です。

 鹿撃ち用ですが、軍や警察でも使われます。

 粒の量は9個程度ですが、大きさがパチンコ玉くらいはあるので、非常に高い威力があります。

 また、ゲームなどで誤解されがちですが、ショットガンは意外に撃った直後はそれほど拡散しません。

 10m程度飛んでからゆっくりと広がっていくので、50m位は余裕で当てれます。



『ライフルスラグ』


 1つの大きな粒が入ったショットガンの弾です。

 熊撃ち用、軍ではドアの蝶番を破壊する目的で使ったりします。

 重量があるため高威力でさらに弾道が安定し、高い精度を保つことが可能ですが、その重量のせいで飛距離はそれほど長くはありません。




『サボットスラグ』


 スラグ弾の粒をプラスチックのワッヅで包んだもので、ライフリング加工をされたショットガンで使用すると、発砲時にワッズがライフリングに食い込み、弾に回転を加え弾道の安定化と共に飛距離を伸ばします。

 また、サボットスラグにはHPやFMJといった様々な弾頭形状があります。

 サボットスラグ専用の、銃身にライフリングが刻まれたスラグライフルというものも販売されており、中にはボルトアクションライフルの形状をしたものもあります。




『フレシェット』

 

 最近話題になり始めてきたので、こちらも紹介しておきます。

 これは、粒の代わりに小さな矢のような形状の弾が何本も詰まっている弾丸です。

 1発の威力はOOバックなどには劣りますが、優れた貫通能力を有しており、ボディーアーマーを着た相手に対しても効果的にダメージを与えることが出来るでしょう。

 そもそもショットガンの弾は粒なので貫通力があまりありません。なので貫通力を求めるなら、スラグかこちらを使用した方がいいでしょう。

 まだまだショットガンには特殊な弾がありますが、今回は本や映画によく登場する物に限らせてもらっているので、ここまでとさせていただきます。ご了承ください。



『マグナム弾』


 通常よりも多めに火薬の量を増やすなど、威力を増す改良を加えられた弾のことです。

 装薬量を多くするために、薬莢を長くしたり薬莢自体に改良を加えたものを指しますが、最近ではこの弾を使用する銃自体をマグナムと呼ぶこともあるので書き分けに注意です。

 ちなみに、アメリカなどでもリボルバーをマグナムと呼んでたりするので、使い方間違ってるとかは特に気にしなくていいのかもしれませんね。

 なお、薬莢が長くても装薬量は通常のものと変わらない場合もあり、それはマグナム弾ではないので注意が必要です。

 また、薬莢の長さなどを変えず単に装薬量を増やしただけの弾を指す場合は、強装弾と呼ぶ場合もあります。表記は弾の名称の後ろに+P弾、と書きます。



『サブソニック弾 (亜音速弾)』


 弾丸の速度を亜音速にまで落とした弾のことです。

 弾頭重量をわざと増やしたり、装薬量を減らしたりして弾速を調整するため、通常のものよりも弾道が安定せず飛距離も伸びません。

 ですが、弾が音速で飛ぶ際に発生する衝撃波から出る音を抑えられるので、サプレッサーと併用すればさらに高い減音効果を発揮できるでしょう。

 ただ45口径弾などは最初から亜音速なので、サブソニック弾を使わなくてもいいようですね。

 また、装薬量を減らした弾は減装弾とも呼ばれます。



『ファクトリーロード』


 工場から出してそのまま、一切手を加えられずに市販されている弾薬のことです。

 強装弾、減装弾などの区別の為に。 

 


『ハンドロード』


 ファクトリーロードの逆で、自分で何か手を加えた弾薬の事を指します。

 これは、強装弾を作ろうとして弾丸や銃が耐えきれないレベルの過剰な装薬をしてしまい事故につながるなど危険も伴いますので、スキルが無いとなかなかできませんね。

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