第二章 まっさらな産声
第五話
じっとりと汗ばむような蒸し暑い夜。南地方特有の気温の高さとジメジメとした湿気で、天幕の中はやや息苦しさを感じるほどに暑い。そんな暑さのせいだろうか。なかなか寝付けずにいた
夏仕様だという
ゆっくりと、静かに。寝ている同胞を起こさないように気をつけながら、少年は
かさり、と小さな音を立てて少年は川の縁へと腰をかけた。ゆるりと流れてゆく
唐突にさわり、と吹いた風が少年の
「……眠れないのか、ハルト」
「……今日は少し、寝苦しくて。ガルド兄さんこそ、どうしたの?」
「この暑さだからな。目が冴えて外に出たら、お前が歩いてゆくのが見えた」
ちゃぷり、と足を浸した水が音を立てて小さな飛沫を上げる。宙に浮いた後に波紋を生みながら水面に落ちゆく雫が、
「……ここでの暮らしには、慣れたか」
心配気な色を乗せた声にハルトはガルドを見上げた。厳しい顔付きで分かりづらいが、
「ガルド兄さん……大丈夫だよ、みんな優しくてあったかいから。そっか、もう少しで
あっという間だったなぁ、と息をはいて、ハルトは思い出すかのように目を閉じた。
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