第88話 辞世ガンダム


 ガンダムバルバトスのプラモデルが欲しい。HGで買うか、MGで買うかそれが問題だ。


 ガンプラには色々な種類がある。MGの方がパーツ数が多くて、サイズが大きい。何年か前に作ったのは、ガンダムウイングのライバル機、トールギスだ。中世騎士のような出で立ちと、ほぼ白を基調としたデザインがシンプルで美しい。顔もイケメン。トールギス2でも3でもなく、私はこの1を推す。


 年取ると、シンプルな方が好きになってくる。ゲルググとかグフがお気に入りで部屋に飾ってる。


 ガンダムタイプは正直飽きてるので、バルバトスは迷っている。メイスで殴るというスタイルが漢らしい。デザインもシンプルで好みなのだが、思い入れがないので決めかねる。


 MGだから満足かというと、よくわからない。アッガイはHGの方がアニメの雰囲気に近い。腕がうにょーんと伸びる。


 何故ガンプラに拘るのかというと、生きていて、あと何回ガンプラに触れる機会があるのか考えたためだ。


 辞世の句ならぬ辞世ガンダムである。


 将来、何があるかわからない。これが私が最後に作ったガンダムですよと胸を張れるものが作りたい。


 ガンダムの世界はいつも戦争をしているが、そのプラモデルが流通する世界は平和でなくてはならない。なんという自己矛盾であろう。


 ミリタリーファッションの原型は、その名の通り戦争に由来する。トレンチコートは元々軍用コートだ。


 我々の身近には、戦争の気配が常に存在していた。気づかない振りをしていただけで、ずっと前からそこにあったのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る