第48話 デジタルは現物を超えるか

最近の美少女フィギュアの値段は高い感じる。


気になっていたジャンヌオルタのフィギュアの値段を調べたが、Amazonで三万六千円だった。以前調べた時は二万円代だった気がするが、それにしても高い。サイズが大きいし、割と有名なアルターというメーカーのものなので、まあ仕方ない。どうりで一目見て造形が美しいと思った。けいおんとか、リリカルなのはのフィギュアをここで昔よく買ったものだ。


じゃあ今回もポチるかというとそういうわけにもいかない。


サイズと値段の問題はあるが、まずこのジャンヌオルタというキャラに思い入れがない。声優が誰なのかどういう成り立ちでどういう性格なのかも全く知らない。FGOというゲームのキャラであること、原作者が奈須きのこであることは知っている。奈須きのこは尊敬しているが、それでも購入の判断材料には足りない。


というケースがここ数年多くなり、フィギュアを買うことはめっきり減った。思い入れというのは案外大事なのだ。


フィギュアの購入が減ったのは、入れ込む程の作品が減ったことを意味する。気づけばなろう系と、ソシャゲに 侵食され、十年後も覚えている作品はほとんどないのではないか。


フィギュアを購入する動機が減ったのはそれが主な原因だと思っていたが、それだけではないかもしれない。


一時期、ソシャゲをやっていて、推しのキャラがいた。その推しのキャラのフィギュアがあったのだが、購入しようとは思わなかった。なぜかというと、ゲーム内でそのキャラのイラストを手に入れてしまうとそれで満足してしまうのである。これは昔では考えられない現象だ。デジタルで完結している。そこまで行くのに十万以上かかってるけどね、テヘッ☆


今はスマホ一つで大体の用は足りてしまう。タクシーも出前も、決済も、出会いも仕事もスマホは欠かせない。代わりにGAFAのようなIT企業が優越的地位を確立し、富の不均衡を招いていると言われている。


ネットの世界は広いようで狭い。ツィッターで自分に都合の良い意見ばかりリツイートしている人を結構見かける。自分で自分の視野を狭めている。

我々もそのうちデータに移行し、ディストピア的に管理されるのだろうか。私は初春飾利ちゃんになってアドミニストレータになりたい。その前にバグとして消されるわけにはいかないので、善良な市民となってGAFAを欺く。


ジャンヌオルタを検索しながら、デジタルの世界から逃避するのだ。


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