第6話 欲張り
未知のものに憧れを抱く。好奇心。それは人間に与えられた贈り物だとされる。あるいは呪い。
生物の進化は、切羽詰まった状況を打破しようとして生まれたものが多いと聞く。人間が猿に近かった頃、集団のコミュニケーションは毛づくろいによっていたが、それも数が増えると回らなくなり、言葉が生まれたらしい。
果たして今の私の求めるものは、好奇心によるものか、それとも危機的状況を覆すための窮余の求めなのか。判別する術は持っていない。
私にとってはどちらでも構わない。
私は脊椎反射に勝る欲を肯定する。
金が欲しけりゃ欲せ。
女を抱きたきゃ好きなだけ抱け。
求めよ、されば与えられん。
欲の皮が突っ張っているのは、今に始まったことじゃないのだ。
欲に生きて、そして死ね。若人よ。
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