第8話 女の子の秘密の部屋

離婚すると、仕事も生活環境も一気に変わった。


モテ期が来ると、また何人かの女の子と関係を持つようになったが、一人、タイプの子がいた。顔が一年間付き合った人妻とそっくりだった。



いろんな子と付き合うと、自分に合う子が分かるようになってくる。


若い頃の異性の好みなどというのはいい加減なもので、ほとんどが異性の親の投影か、メディアの刷り込みだ。


恋愛経験を重ねるうちに、自分に合う異性、本当に自分が必要とする異性というのが分かってきて、好みも一貫性を帯びるようになる。



歴代の彼女を知っている古い付き合いの友人はいつだったか、「お前はいつも似たような子と付き合うなぁ」と言っていた。


そのときは自覚がなかったのですごく意外だったが、今は自分が合う子が一目でわかる。



その子と最初に会った時にバーレストランで食事して、帰り際に唇にキスした。


唇を離すと、彼女は「またね。」と言った。



次に会った日に、ラブホに直行してセックスをした。彼女は自分で「セックスが好き」と言うぐらいの子で、デートはラブホが中心だった。


彼女は7歳年下だったが、性には慣れており、また身体の相性は極めて良かった。


この子ともセックスしまくった。



この頃になると、何も考えなくても、女の子の気持ちいいところが感覚でわかるようになっていた。


たっぷり舐めてほぐして挿れると、どこにどう当たるとどう気持ちいいかが自分の感覚のようにわかった。



女の子は、本当に相手のことが好きで、本当に気持ちよくなると、膣の奥の「秘密の部屋」が開く。


いわゆるポルチオと呼ばれる子宮口付近の場所はよく知られているが、実はさらに奥にもう一部屋ある。


女の子の身体が男をこの部屋に通すと、もう相手の身体を一生忘れることはない。例え何年空白の期間があっても、挿れた瞬間に身体は熱烈歓迎モードになる。それぐらい大事な部屋なのだ。


おそらくこの部屋に入れてもらえるのは、女の子の人生のうちで一人か二人の男だけだろう。


その秘密の部屋に亀頭をググッと挿れると、彼女はすごい、すごい、と叫んでイッた。



ただ、その子は「メスとしての本能の自分」と「主観としての理性の自分」の二つの自我の統合に課題を持っていた。詳しく訊いたことはないが、父親と過去の男に問題があったのだろう。


若くして妊娠した時に中絶した経験もあり、女として、個人として求める幸せを掴めずにいた。


彼女を見ていてその不一致には気づいていたものの、他人はその問題を解決することはできないことを知っていた。



彼女の自我のバランスの成り行きを見守っていたが、セックスをすればするほど、彼女の身体が持つメスの力のほうが強くなっていってしまった。


身体は子供を欲しがっていたが、理性的な主観の自我ではそれを拒否していた。



ある時、不正出血を理由にピルを飲んで中出しをさせてくれるようになったが、勝ったのは理性のほうだった。


中出しをするようになってすぐ、彼女はなんとセックス中に別れを切り出した。


これ以上精液を受け入れることはできないと判断したのだろう。


身体の中に好きな男の精液が染み込んでいくと、メスの力はさらに加速してしまうからだ。


半年ほど付き合って、彼女は男女として次のステップに進むことを拒んだのだった。



離婚を除けば、これまでの恋愛経験で男女のステップを超えられなかったのはほとんどが自分に原因があった。


しかし、今回は彼女の自我の統合の課題が関係性の障害になった。


彼女の判断を聞き、自分は大人になったのだ、と思った。

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