ブーツ

疲れた振りにも、もう疲れた頃だろ

ブーツの革が剥がれかける頃

歩き続けて、何かを成し遂げたつもり

夕暮れの海に辿り着いてもスタッフロールは流れない


気にもとめるな、と十年前の君なら言ったろうね

煙草だってもう隠れて吸う必要もない

疲れた顔をするなよ

悲しいわけじゃないんだからさ


その旅は過去に続いている

そう信じることが大切なんだ

南に向かうんだ

次第に寒さが和らいでいくから

木々に蒼さが取り戻されていくから

その先で待っている誰かに

また靴紐の結び方を教わればいいのさ

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シネマトグラフ 水上 遥 @kukuru

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