第249話 次の道へ

先日、通っているA型事業所の所長に呼び出された。


「入所してから就労態度や能力を1か月見ていて、俺さんには次のステージに進める力があると思う。」


所長はそう言って、1枚の書類を差し出した。

それは、いわゆる普通の職場の、障害者枠での求人募集の1件だった。


「募集枠は2名程度と書いてある通りだから、倍率は相当に高いと思う。だけど、私がこんなことを言うと酷いけど、A型事業所は所詮A型事業所です。俺さんには次のステージに登って欲しい。その力は十分あると思うから、次のステージで輝いて欲しいし、そんな俺さんを応援したい。」


所長の言葉は俺に刺さった。

と言うのは、普通の職場に就職したい気持ちはあるにはあるのだが、普通の職場に就職しても果たして続けられるだろうかという不安、またそもそも、年齢的に普通の職場で働く機会を得られるかどうかも不安で、先のことを考えても明るい見通しが立たないことから、その辺のことは実はあまり考えないようにし、目の前の作業と1日1日を過ごすことに集中するようにしていたからだ。

でも、改めてまっすぐにはっきりと先のことを考えざるを得ないことを提案され。

あまつさえ、応募期日の締切が2日後に迫った条件だったから。


俺は、その話に、乗った。


締切日当日、所長は俺が用意した必要書類にわざわざ推薦状を加えて先方に出向き、担当者に直接手渡したそうだ。


「本当に応援してるから!先方にも猛プッシュしてきたよ。」


そこまでして貰えたからには。

俺も、全力で向かわなければ申し訳が立たない。

応援されるにふさわしい面接と、いい結果を出せればと切に思う。

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