第235話 子供

気候が良いのもあって、最近は隣駅にある公園まで散歩している。

公園は大きく桜が綺麗で、芝生ではシートを敷いて花見をしている人たちもいる。

そんなところに、散歩ついでに楽器を持って行き、練習するのも楽しい。


以前は二胡の教室にも通っていたが、今公園で弾いているのは、コンサーティーナという蛇腹楽器。

小型の六角形で鍵盤の代わりにボタンが付いているアコーディオンをイメージしてもらえば、形は大体合っている。

俺が持っているのはアングロ・コンサーティーナと言って、蛇腹を押すときと引く時で同じボタンでも異なる音を出す仕様。

ボタン数も20・30・40と種類があるのだが、俺のは20ボタンで、1番音域が狭いものになる。

だがその分安く買えるし、音域が少ないと言っても下のシ+2オクターブ+ミまでは出る(半音は#ファのみ)


コンサーティーナはマイナーすぎて教室もないので、独学というか独遊だ。

ユーチューブ等で他人様が弾いている動画を見てもさっぱり判らない程度に、そもそも楽器に対する知識もない。

それでも、公園でのんびりと音を出しているのは楽しい。


今日も公園に行って弾いていたら、保育園の子供たちが先生に連れられ公園に遊びに来た。

どうしようかと思ったが公園は広いので、こっちまでは来ないだろうと、気にせず練習を続けることにした。

練習していたら、子供たちの数人が物珍しげに近寄ってきて、芝生に座り込んだ。

初めてのギャラリーは、5~6人くらい。

拍手してくれる子もいた。

暫くするとやんちゃな子供も近寄ってきて、ためらいなく触って来たりして、どう対応したらいいのか困ったりもしたが、すぐに先生が子供たちを連れて場所を移動していった。


病気になってから長い間、子供が騒ぐ声が怖かったり、子供自体が怖かったりもしていたのだが。

今日は、対応の仕方は判らなかったけど、怖いとは思わなかった。


「子供が怖くない」


という実感。

これは、大きな変化だ。


積極的に関わりたいとは思わないけれど。

子供におびえることはないのだと、今日、知った。

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