第221話 通勤電車(帰宅時間)

本日、友人と夕方まで出かけていた。

出かけた先は大きなターミナル駅。

帰りは帰宅ラッシュの第一陣の時間帯になってしまった。

あまつさえ、乗る電車は普段から激混みで有名な路線。

ターミナル駅始発の電車に乗り込んだのだが、どんどん人が増えてきて、乗換駅までの15分が地獄のような時間と空間だった。


常々、俺に「人混みは人参とジャガイモと玉ねぎだと思え」と述べる友人は。


「いい? これ貨物列車だから。私ら以外に乗ってるのは全部ジャガイモと人参と玉ねぎ。この時間に運ばないと皆の食卓に届かないから運んでるの。」


電車内で力説した。


「15分だから頑張れ。」


とも言ってくれた。


「無理だったら一緒に途中で降りるから。」


とも。

何とも心強かった。

そして果たして乗換駅まで無事にたどり着くと。


「良かったね! 頑張ったね! 凄いじゃん!!」


手放しで喜んでくれた。


もう1度乗ったとして、乗り切れるか判らない。

それでも、病んで電車に乗れなくなってからの、初の通勤ラッシュ体験は。

十分すぎるほど及第点だ。


好んで乗りたいとは思えないけど、仕方なくそうなってしまったときは。

今日乗れたんだから、周りにいるのは全部根菜だからと言い聞かせて頑張ってみよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る