第214話 突然の別れ
12月29日。
眠ったまま、祖母が逝った。
103歳だった。
警察が入り、祖母の遺体は警察署預かりとなり、昨日直接斎場に送られた。
直近で会ったのが、12月16日。
「また来るね」
が最後に交わした言葉。
祖母の最後の言葉は、何だっただろうか。
耳が遠くなり、ここ数年は筆談だったから、はっきりと喋ったのがいつだったかは覚えていない。
「自宅の布団で眠ったまま起きない死に方がしたい。」
常々言っていたのだが、望んだとおりの死に方となった。
通夜も告別式もなく、火葬にした。
29日に死去の連絡を貰い、31日に実際に対面するまでは、どうにもこうにも落ち着かず、泣いたりもしていたのだが、火葬前の最期のお別れで、穏やかに、それこそ眠っているかのような顔を見て、何と言うか、納得した。
寝る時は寝て、動くときは動く生活をしていたから、ここにきて今更ゆっくりお休みなさい、もイマイチしっくりこず。
生前にあまり旅行をしたことのなかった人だったから、寒くないように袢纏と手袋、転ばないように杖と金比羅山のお守りも一緒に納棺したし、のんびりと歩いて、向こう側への旅路を楽しんでほしい。
向こうに着いたら、先に逝った大勢の人たちが総出で迎えてくれるだろう。
たくましい人だったから、振り返ることはしない気がする。
残った子供たち、孫たちは俺も含め頼りないけど。
「おばあちゃんから孫を託された気持ちだ。」
と相方が言ってくれたから。
俺は、たぶん大丈夫。
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