第215話 奇縁

20年近く前に亡くなった祖母の姪には、友人がいた。

その友人は、その後いろいろあって、祖母の友人になった。

俺とも面識があるし、家に来たことも何度もある。

友人は祖母の耳が遠くなり、会話が出来なくなった後も、手紙を交わし続けていた。


祖母が亡くなったことを手紙で知らせ、祖母が大切にしていた湯呑を形見分けとして渡すために、友人宅にお邪魔した。

祖母の話、姪の話、俺の近状など、いろいろ話した。


今回はけじめのご挨拶のつもりだったし、この先の付き合いは友人次第だな、と考えていた。


「折角のご縁だから、これからもお付き合いしたい(意訳)」


友人からそう言われた。

俺と友人は親子ほどの歳の差がある。

事実、友人の娘さんは俺と同い年だ。

そう言ってしまうと、祖母と友人も親子くらい離れていたが。


祖母と同じような付き合いは出来ないが。

今後も、この奇妙な友人関係は続いていくのだと、ぼんやりと暖かく、そう思った。

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