第192話 ぬいぐるみと一緒に

昨日、某大型テーマパークに遊びに行った。

人混みは予測できたし、子供が居るのも百も承知で。

だから、途中で帰ることも視野に入れてはいた。


結果としては、開園から閉園まで、13時間半、心のそこから楽しめた。

勿論、途中で泣いている子供に遭遇したり、園内を走る電車の音に怖くなったりもした。

それでも、一緒に行った友人夫婦と、相方の気遣い、あと園内で一目ぼれして身請けしたパペットのぬいぐるみをほぼ1日中左手に装着していたことで、何とか無理なく乗り切れた。

園内は他にもイロイロなぬいぐるみを抱えた人たちがたくさんいて、俺のパペットも違和感がなかったことも大きかったかも知れない。

友人夫婦が別れ際、「最後まで遊べて良かったね!」と言ってくれた。

思わず泣きそうになり、帰りの車の助手席で泣いた。


そこでは、メインキャラクターが「夢は叶うよ!ハハッ!」と口癖のように言っているのだが。

夢が叶うというか、いろんなことに助けられながら、無理はせずに頑張れたこと、その結果心底楽しめたことが凄く嬉しく。

今までの4年間で蓄積したいろいろなこと、凹んだり泣き叫んだり踏ん張ったり、そんな泥臭い努力が実った実感が持てた。

これからも、頑張ろうと思えた。


前からほどほどに好きだったその大型テーマパークが、大好きになった。

楽しい時間を過ごせたこと、絶対に忘れない。


だから、今日も頑張った。

テーマパークから連れて帰ってきたパペットを左手に、右手には手のひらサイズの別のぬいぐるみを握りしめ、線路沿いを最寄駅まで歩いた。

怖かった。

怖かったけれど、昨日特別な1日を過ごしたのは夢じゃなかった、と証明したかったし、心強い味方になってくれている小さなぬいぐるみと、新たに味方になってくれたパペットぬいぐるみに励まされて、ウォークマンを聞きながら、往復することが出来た。


傍から見たら、大の大人がぬいぐるみを着けて歩いているのは、昨日と違って滑稽に映ったかも知れない。

知ったことじゃない。

駅まで行けた、帰ってこれた、それが嬉しかった。


明日は久しぶりに1人でそれなりの距離を出かける用事がある。

歩けば4時間強、電車を使った最短なら40分くらい。

どう行くかはまだ決めていないけど。

明日も頑張ろう。

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